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粉体輸送ラインの設計で注意すべき5つの視点

食品、化学、医薬、セラミックス、金属加工など、多くの産業で使用される粉体材料。これらの粉体を効率よく、安全に搬送するための”粉体輸送ライン”は、生産プロセス全体の安定稼働や品質管理において、非常に重要な役割を担っています。

一方で、粉体は液体や固形物と違い、粒子の大きさ、形状、湿度、帯電性などの性質により、流動性が大きく異なるため、輸送ラインの設計には繊細な配慮が必要です。誤った設計は詰まりやブリッジ現象、粉じん漏れ、エネルギーロスなどのトラブルを引き起こし、製造効率の低下や安全性の問題を招くこともあります。

本記事では、トラブルを防ぎ、長期的に安定運用できる粉体輸送ラインを設計するために必要な5つの視点について、実例を交えながらわかりやすく解説します。

視点1:粉体の物性を正確に把握する

粉体輸送ラインの設計で最も基本かつ重要なポイントは、輸送する粉体の物性を詳細に理解することです。見た目が似ている粉体であっても、粒子径、粒度分布、形状、真比重、かさ比重、流動性、吸湿性、帯電性、摩擦係数などに差があるため、それぞれに適した輸送方法が異なります。

例えば、粒子径が非常に小さく凝集性が強い粉体には、流動性を高める工夫(エアレーション装置や振動機構など)が必要です。逆に、流動性が高すぎる粉体は輸送中に分級が起こる恐れがあり、慎重な設計が求められます。

輸送対象の粉体サンプルを用いた流動試験や物性評価を事前に行い、その結果を基に機器や搬送方式を選定することが、設計の第一歩です。

視点2:適切な輸送方式を選定する

粉体輸送にはさまざまな方式が存在し、それぞれに長所と短所があります。代表的な方式には、空気圧を使って粉体を搬送する”気力輸送”、スクリューで押し出す”スクリューコンベヤ”、バケットで垂直搬送する”バケットエレベーター”、振動による”振動フィーダー”などがあります。

気力輸送には、正圧方式(圧送)と負圧方式(真空吸引)があり、輸送距離や設備配置によって選択が変わります。たとえば、長距離や高所搬送が必要な場合には気力輸送が適し、短距離かつ精密な搬送が求められる場合にはスクリュー方式が有効です。

各方式の特徴と粉体の性質、工場内レイアウトなどを総合的に考慮し、最適な輸送方式を選ぶことが重要です。

視点3:詰まりやブリッジの予防設計を行う

粉体輸送における代表的なトラブルが、粉体の詰まりやブリッジ現象です。特にホッパー出口や配管の曲がり角、接続部などは粉体が滞留しやすく、詰まりの原因になります。

これを防ぐためには、ホッパーの傾斜角度を適正に保つ、内部に滑りやすい材質(ステンレスやテフロンなど)を使用する、エアーパージや振動装置を取り付けるといった工夫が有効です。

また、パイプ径や曲率、分岐部分の設計にも注意が必要で、空気と粉体の混合状態や流速の変化に対応できる構造にしておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

視点4:安全対策と粉じん管理を徹底する

粉体輸送では、設備内部や排気口から微細な粉じんが飛散するリスクが常に存在します。特に可燃性の粉体や、有害な成分を含む粉体を扱う場合は、粉じん爆発や作業者の健康被害など、安全性への配慮が不可欠です。

密閉構造の導入やHEPAフィルター、集じん装置の設置、静電気の除去機構などを検討することで、粉じん漏れを最小限に抑えることが可能です。また、ATEXや国内防爆基準に対応した機器の選定も重要なポイントです。

設備設計とともに、現場での定期点検やマニュアル整備、作業員教育を組み合わせることで、より安全な輸送ラインの構築が実現します。

視点5:メンテナンス性と将来の拡張性を考慮する

一度導入した粉体輸送ラインは、10年、20年と長く使用されるケースが多いため、メンテナンスのしやすさや設備の拡張性も設計段階から考慮しておくことが求められます。

点検口の配置や交換部品のアクセス性、清掃のしやすさなどに配慮することで、トラブル時の復旧が迅速になります。また、生産量の増加や原料変更など将来的な変更に柔軟に対応できるよう、予備スペースや余裕のある配管設計を行うとよいでしょう。

製品ライフサイクルや生産戦略を見据えた柔軟な設計は、設備の持続可能性とコスト効率の向上に寄与します。

まとめ

粉体輸送ラインの設計は、単なる搬送手段の構築ではなく、製造プロセス全体の品質・効率・安全性を左右する重要な工程です。

輸送対象の粉体特性に応じた方式の選定、安全性の確保、トラブルを未然に防ぐ構造設計、そして運用後の保守や拡張性に至るまで、複数の視点から総合的に検討することが求められます。

この記事で紹介した5つの視点を意識することで、安定性が高く、長期間にわたり信頼できる粉体輸送ラインを設計・運用するための道筋が見えてくるはずです。

この記事の監修者

ケーケーマグネット株式会社

KK MAGNET 事務局

KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去磁力検査粉体輸送、省人化等の事業です。
プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。

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