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マグネットトラップ導入前に知っておきたい5つのチェックポイント

製品の品質に直結する課題の一つに「異物混入」があります。とくに製造業の現場では、金属異物の混入は重大なクレームや製品回収に発展しかねない問題です。そうしたリスクを未然に防ぐため、多くの企業で導入が進んでいるのがマグネットトラップです。

マグネットトラップは、磁力を用いて微細な金属異物を物理的に除去する装置であり、食品、化学、樹脂、製薬など、さまざまな分野で活用されています。

しかし、「強力な磁石が付いていればそれでOK」と安易に選定してしまうと、効果を十分に発揮できないばかりか、メンテナンスや運用の手間が増えてしまうこともあります。

この記事では、マグネットトラップを導入する前に必ず確認しておくべき5つのポイントについて、具体的かつわかりやすく解説していきます。初めて導入を検討する方も、すでに導入済みの方も、見直しの参考としてご活用ください。

1:処理対象の「性状」を把握しているか?

液体・粉体・粘性体…対象物によって適した構造は異なる

マグネットトラップには、対象物の性質に応じてさまざまなタイプがあります。代表的なのは液体用と粉体用ですが、同じ液体であっても、水のような低粘度のものと、シロップやペーストのような高粘度のものでは、求められる設計が大きく異なります。

液体用マグネットトラップでは、配管の圧力や流速に耐えられる構造が求められます。高粘度の場合、異物流の通過が困難になるため、バイパス構造や広い流路設計が必要になることもあります。

一方、粉体や粒体の場合は、グラビティ(重力)で落下する際に異物を除去するタイプが一般的で、製品の流れがスムーズであることが重要です。

マグネットトラップの導入前には、まず処理対象の状態(液体か粉体か)、粘性、比重、温度、流量などの物性データを明確にし、それに合ったタイプの選定が欠かせません。

2:設置場所と配管条件を確認しているか?

現場のスペースや接続方式に応じた設計選定が不可欠

装置選定で意外と見落とされがちなのが、設置スペースと配管の接続条件です。たとえば、マグネットトラップには以下のような取り付け方法があります。

  • フランジ接続
  • ネジ込み(ユニオン)接続
  • クランプ(サニタリー)接続
  • グラビティ設置(下部排出型)

これらの接続方式と、現場で使用している配管サイズ・材質が合っていなければ、スムーズに設置できないだけでなく、漏れや圧力損失の原因になる可能性もあります。

また、装置の清掃やメンテナンスを考慮すると、装置周辺にある程度の作業スペースが必要です。装置の取り外しやマグネット部の引き抜きが可能かどうか、現地の設備レイアウトも十分に確認しましょう。

3:必要な磁力と磁場設計を理解しているか?

「強い磁石」だけでは不十分、磁場の広がりがポイント

マグネットトラップの性能を左右するのは、使用されている磁石の種類と磁力の強さ(表面磁束密度)です。一般的に使用される磁石には以下の2種類があります。

フェライト磁石(3,000~4,000ガウス) 耐熱性が高くコストも抑えられるが、磁力は中程度。
ネオジム磁石(10,000ガウス以上) 非常に高磁力で微細な鉄粉も捕捉可能。ただし高温環境では磁力低下に注意。

一見すると「ガウス値が高ければ高性能」と思われがちですが、重要なのは磁石の配置や磁場の広がり(磁束の深さ)です。製品が流れる範囲に十分な磁力が行き届いていなければ、異物を吸着できない“死角”が発生してしまいます。

高性能を謳っていても、磁石が密集しておらず、実際には捕捉効率が低い構造もあります。したがって、磁力だけでなく磁場の設計と通過経路との関係性もチェックすべき重要なポイントです。

4:洗浄・メンテナンス性を確保できるか?

日常の運用において清掃しやすい構造かを見極める

異物を確実に捕捉しても、マグネットバーに付着した異物を定期的に除去しなければ、次第に磁力が妨げられ、性能が低下していきます。そのため、マグネットトラップは洗浄やメンテナンスがしやすい構造であることが非常に重要です。

清掃しやすい設計の特徴としては以下が挙げられます。

  • マグネットバーが簡単に引き抜ける
  • 異物回収用のスリーブが分離できる
  • 接液部に凹凸が少ない(洗浄残渣が溜まりにくい)
  • サニタリー仕様で自動洗浄(CIP)に対応

特に食品・医薬品業界では、製造ラインの停止時間が限られているため、清掃作業に時間をかけず、確実に衛生管理ができることが求められます。運用担当者の負担を減らすためにも、洗浄性を重視した設計の装置を選ぶことが理想です。

5:捕捉対象の異物サイズと種類を把握しているか?

「何を取るか」が明確でなければ正しい設計はできない

最後のチェックポイントとして重要なのが、「どのような異物を除去したいのか」という目的の明確化です。マグネットトラップは基本的に磁性体(金属)の除去に特化した装置ですが、その異物の大きさ・形状・混入経路によって適切な仕様が変わってきます。

たとえば、

  • 鉄粉のような微細粒子 → 高磁力で密集配置されたマグネットバーが効果的
  • ボルトやナットの破片のような比較的大きな異物 → 流速と通過断面積に注意した設計
  • ステンレス片 → 一般的なフェライト磁石では吸着が難しいため、高磁力ネオジムが必要

また、非磁性体の異物(例えばガラスやプラスチック)はマグネットでは除去できないため、別の装置との組み合わせも視野に入れる必要があります。どの異物にどの段階で対処するのかを明確にすることが、最適な異物対策の第一歩です。

まとめ:事前の確認が、導入後の成果を左右する

マグネットトラップは、目に見えない金属異物を効率よく除去し、製品の安全性と品質を支える重要な装置です。しかし、「とりあえず付けておけばいい」という安易な導入では、本来の性能を活かしきれません。

今回ご紹介した5つのチェックポイント──

  1. 処理対象の性状を把握しているか
  2. 設置場所と配管条件を確認しているか
  3. 必要な磁力と磁場設計を理解しているか
  4. 洗浄・メンテナンス性を確保できるか
  5. 捕捉対象の異物サイズと種類を把握しているか

これらは、どれも導入前に押さえておきたい基本中の基本です。

導入時の確認不足が、現場のトラブルや期待外れの性能につながるケースも少なくありません。だからこそ、装置選定にあたっては現場の状況をよく整理し、必要に応じてメーカーや専門家に相談することが大切です。

マグネットトラップの導入を成功させるには、“目的に合わせた正しい選定”が何よりも重要です。異物混入ゼロを目指す品質管理の第一歩として、ぜひ慎重に導入を進めてください。

この記事の監修者

ケーケーマグネット株式会社

KK MAGNET 事務局

KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去磁力検査粉体輸送、省人化等の事業です。
プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。

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