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あなたの工場に合ったマグネットトラップはどれ?用途別徹底比較
工場における異物混入対策は、製品の品質を守るために欠かせない取り組みの一つです。中でも、微細な金属異物の除去に効果的な装置として注目されているのが「マグネットトラップ」です。マグネットトラップは、液体や粉体の搬送ラインなどに設置され、流体中に混入した鉄系異物を強力な磁力で捕集する装置です。
一見同じように見えるマグネットトラップですが、実は用途やラインの条件によって最適なタイプは異なります。適切な機種を選ばないと、思うような異物除去効果が得られなかったり、ライン全体の効率に悪影響を及ぼしたりするリスクもあるのです。
本記事では、代表的なマグネットトラップの種類や特徴を解説し、それぞれがどのような工場や工程に適しているのかを詳しく比較します。貴社のラインに合った最適な選定の参考になれば幸いです。
マグネットトラップとは?基本機能と役割
マグネットトラップは、主に液体や粉体に混入した鉄系金属異物を磁力で捕集する装置です。食品・化学・医薬・樹脂・セラミックスなど、異物混入が製品の品質や安全性に直結する業界では、不可欠な存在となっています。
構造は非常にシンプルで、配管内に設置された磁石(マグネットバー)により、流体中の金属異物が引き寄せられて付着します。異物は外部に排出されずに装置内に残るため、製品への混入を防ぐことができます。
では、具体的にどのようなタイプがあるのでしょうか。
主なマグネットトラップの種類とその特徴
1. バータイプマグネットトラップ
最も一般的なタイプで、複数の磁力棒(マグネットバー)をステンレス製のハウジング内に格納した構造です。液体や粉体の中を通過する異物が、マグネットバーに吸着されて除去されます。
特長
- 清掃・点検が比較的容易
- 設置スペースが限られた場所にも対応
- 食品や樹脂、化学製品など、幅広い業界で使用
適した用途
- 小規模ライン
- 比較的低粘度の液体やサラサラした粉体の処理
2. プレートタイプマグネットトラップ
板状の強力な磁石が取り付けられており、主に落下する原料や粉体に対応するタイプです。重力を利用して異物を吸着する構造で、サイロやホッパーの下部などに設置されます。
特長
- 高い除去性能
- シンプルな構造でメンテナンスが容易
適した用途
- 落下型搬送ライン
- 粉体や顆粒原料の投入工程
3. リキッドラインタイプ(液体用トラップ)
液体の配管ラインに設置される専用のマグネットトラップです。粘性の高い液体でも異物除去が可能なように設計されており、CIP(自動洗浄)対応のものも多くあります。
特長
- 高粘度対応、衛生設計
- バクテリア対策にも有効
適した用途
- 飲料や調味料、ソース類などの液体製造工程
- 衛生管理が求められる食品工場
4. 自動洗浄タイプ(セルフクリーニング式)
メンテナンスの省力化を目的とした高機能型で、捕集した金属異物を自動的に外部に排出します。長時間の連続運転や、頻繁な清掃が困難なラインに適しています。
特長
- ランニングコスト削減
- 人的ミスを防止
- 生産効率向上に寄与
適した用途
- 連続稼働する大型製造ライン
- 作業員による清掃が難しい現場
5. 強磁力タイプ(ネオジム磁石使用)
一般的なフェライト磁石よりもはるかに強力なネオジム磁石を使用したタイプです。微細な鉄粉や磁化されにくい金属も強力に吸着できます。
特長
- 除去精度が非常に高い
- ミクロン単位の鉄粉にも対応可能
適した用途
- 高精度が求められる工程
- 医薬品や精密機器部品の製造現場
工場の種類・目的別に見るマグネットトラップの選び方
用途に応じたマグネットトラップの選定は非常に重要です。ここでは、工場の業種や用途に合わせたおすすめタイプを紹介します。
食品工場の場合
衛生管理が最も重要な業種であり、異物混入は企業の信頼に直結します。液体や半固体製品の製造では、CIP対応のリキッドラインタイプや、自動洗浄タイプの導入が進んでいます。さらに、サニタリー仕様の設計が求められるため、分解・洗浄が容易な機種を選ぶことが重要です。
化学・樹脂工場の場合
粉体やペレット、スラリーなど多様な原料を扱う工程では、プレートタイプやバータイプが多く活用されています。特にスクリュー搬送や振動フィーダーと組み合わせて、異物を効率的に除去するシステムが導入されています。
セラミック・非鉄金属加工工場の場合
精密な加工を伴う工程では、微細な金属粉や切粉の混入が問題になります。強磁力タイプのマグネットトラップが有効で、製品の仕上がり精度を確保するのに役立ちます。
医薬品工場の場合
GMP(適正製造基準)に準拠した製造ラインでは、異物混入ゼロが大前提です。サニタリー性・除去精度・洗浄性すべてを兼ね備えた高機能型マグネットトラップが必要とされます。
導入の際に注意すべきポイント
マグネットトラップの選定は、単に装置の性能だけでなく、運用面や安全面も考慮する必要があります。
配管サイズとの適合性 | 流量や粘度に対して過不足のないサイズ選定を |
---|---|
清掃・保守性の確認 | 作業者の負担を減らすためにも重要 |
設置位置の最適化 | 異物混入が発生しやすいポイントを把握し、効果的な設置を行う |
異物の種類の把握 | 磁性体か非磁性体か、サイズや発生頻度を事前に分析する |
まとめ
マグネットトラップは、異物除去の精度を高めるための非常に有効な装置です。しかしながら、すべての現場に同じタイプが適しているわけではなく、工場の業種や製造ラインの構成、取り扱う原料の特性などを十分に考慮したうえでの選定が重要です。
本記事では、代表的なマグネットトラップの種類を用途別に比較し、それぞれの特徴と導入に適した現場について詳しく解説しました。適切な機種を導入することで、製品の品質向上、クレームリスクの低減、さらには作業効率や安全性の向上にもつながります。
マグネットトラップの導入を検討している方は、今回の比較情報をもとに、ぜひ自社の工程に最適な機種を見つけてください。必要に応じて、専門メーカーへの相談も有効な手段です。適切な選定と運用が、異物混入ゼロの信頼ある製造体制の第一歩となります。
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この記事の監修者
KK MAGNET 事務局
KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去・磁力検査や粉体輸送、省人化等の事業です。
プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。
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