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マグネットセパレータの種類と選び方|現場に合った機種を徹底比較
製造業や食品加工業において「異物混入の防止」は避けて通れない課題です。特に金属片や鉄粉といった微細な異物は、製品の品質低下や安全性の問題を引き起こすだけでなく、企業の信頼にも大きな影響を与えます。その対策として広く活用されているのが「マグネットセパレータ」です。
マグネットセパレータは、磁力を利用して搬送中の原料や製品から金属異物を取り除く装置で、食品・化学・医薬品・樹脂・リサイクルなど幅広い分野で導入されています。ただし一口にマグネットセパレータといっても種類は多岐にわたり、導入現場や目的に応じた選定を誤ると、十分な効果を得られないばかりか過剰投資になってしまうケースもあります。
本記事では、マグネットセパレータの代表的な種類と特徴、導入時に押さえておきたい選定ポイントについて徹底的に解説します。現場に最適な機種を比較検討するための参考としてご活用ください。
マグネットセパレータとは
マグネットセパレータは、磁石の力で原料中の金属異物を除去する機械装置の総称です。搬送される粉体や液体、固形物の中に混入している金属片を吸着し、製品の品質や安全性を確保する役割を担います。
一般的には以下のような効果を期待できます。
- 製品への金属混入を防ぎ、クレームやリコールを未然に防ぐ
- 加工機械に金属が入り込むことで起きる故障や摩耗を防止する
- 食品安全基準や品質規格に準拠するための異物管理に貢献する
つまり、マグネットセパレータは「品質保証」と「設備保護」の両面で欠かせない存在といえます。
マグネットセパレータの種類と特徴
ここでは代表的なマグネットセパレータの種類を整理します。現場によって適した方式が異なるため、違いを理解することが導入の第一歩です。
プレート型マグネット
プレート型は、搬送ラインに取り付けられる板状の磁石を利用するタイプです。ベルトコンベアやシュートの上に設置され、流れる原料に含まれる金属異物を吸着します。
特徴
構造がシンプルで設置が容易。比較的大きな金属片に効果を発揮。
適用例
穀物、プラスチック原料、リサイクル材などのバルク搬送ライン。
グリッド型マグネット
格子状の磁棒(マグネットバー)を複数並べたタイプで、粉体や顆粒状の原料に適しています。
特徴
狭い間隔に配置された磁棒によって微細な鉄粉を捕捉できる。
適用例
食品粉体(小麦粉、砂糖、香辛料)、化学薬品、樹脂ペレットなど。
ドラム型マグネット
回転するドラム表面に強力な磁力を持たせ、搬送物から連続的に金属異物を分離する方式です。
特徴
処理能力が高く、大量の原料を扱う現場に適している。
適用例
鉱石、金属スクラップ、リサイクルライン。
インライン型マグネット
配管の内部に設置されるタイプで、液体やスラリー状の原料に含まれる金属異物を捕集します。
特徴
液体ラインを流れる微細金属を効率的に除去。洗浄やメンテナンスが容易な構造も多い。
適用例
飲料、ソース、乳製品、ペースト食品、化学液体など。
サスペンション型マグネット
搬送ベルトの上方に吊り下げて設置する方式で、大きな金属異物を取り除くのに適しています。
特徴
大きなボルトやナットなどの異物を効果的に除去。自動排出機能付きモデルもある。
適用例
廃棄物処理、建材リサイクル、鉱業。
マグネットセパレータの選び方
現場に合ったマグネットセパレータを選定するには、単に「磁力が強いものを選ぶ」だけでは不十分です。以下の観点を総合的に判断することが重要です。
原料の性状を考慮する
粉体・液体・固形物など、扱う原料の形状や流動性により適したセパレータは異なります。例えば粉体にはグリッド型、液体にはインライン型が効果的です。
除去したい金属異物のサイズ
大きなボルトなどを想定するのか、微細な鉄粉を除去するのかによって機種は変わります。微細異物なら高磁力タイプのグリッド型やインライン型が有効です。
処理量と生産ラインの規模
ライン全体の処理量に対応できる能力を持つかどうかも重要です。大量処理ならドラム型やサスペンション型が適しています。
衛生管理やメンテナンス性
特に食品分野では、清掃のしやすさや分解・洗浄の手軽さも選定ポイントになります。衛生規格を満たすステンレス製のモデルが望ましいです。
コストとランニング費用
導入コストだけでなく、メンテナンスや清掃にかかる人件費、ランニングコストを含めて検討することが必要です。
マグネットセパレータの比較表(例)
わかりやすいように代表的な種類を比較します。
種類 | 特徴 | 適用例 | 強み |
---|---|---|---|
プレート型 | 大きな金属片に強い | 穀物・樹脂 | 設置が簡単 |
グリッド型 | 微細鉄粉の除去 | 粉体食品・化学品 | 捕集力が高い |
ドラム型 | 大量処理に対応 | 鉱石・リサイクル | 処理能力が大きい |
インライン型 | 液体用 | 飲料・ペースト食品 | 洗浄しやすい |
サスペンション型 | 大型異物に有効 | 廃棄物・建材 | 自動排出も可能 |
導入事例から見る選定のポイント
例えば食品工場では、小麦粉ラインにグリッド型を導入することで鉄粉混入が激減し、品質検査工程でのリジェクト率が低下した事例があります。一方、金属リサイクル現場ではドラム型を導入することで大量の鉄片を効率的に分別し、作業効率が大幅に改善しました。
このように、現場ごとの課題に適したマグネットセパレータを選ぶことが成果に直結します。
まとめ
マグネットセパレータは、異物混入対策と設備保護の両面で欠かせない装置です。しかし、種類によって得意とする分野や対象異物が大きく異なります。
- 粉体にはグリッド型
- 液体にはインライン型
- 大量処理にはドラム型
- 大型異物にはサスペンション型
といったように、原料の性状・異物の大きさ・処理量・衛生管理の要件などを総合的に考慮することが大切です。
導入を検討する際は、単に磁力の強さだけでなく、現場に即した性能や運用のしやすさを踏まえて比較検討しましょう。適切な選定を行うことで、製品の品質向上と生産効率の改善を同時に実現できます。
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この記事の監修者
KK MAGNET 事務局
KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去・磁力検査や粉体輸送、省人化等の事業です。
プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。
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