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フェライトとネオジム、どちらが最適?マグネットトラップの磁石比較

製造業や食品加工、化学工場などの現場では、製品の品質を守るために異物混入対策が欠かせません。その中でも鉄系の異物除去に活躍するのが「マグネットトラップ」です。配管や設備の中に設置し、強力な磁力で金属異物を吸着することで、製品の安全性を確保し、設備のトラブルも未然に防ぎます。

マグネットトラップの性能を大きく左右する要素のひとつが「磁石の種類」です。主に使用されるのは「フェライト磁石」と「ネオジム磁石」の2種類ですが、それぞれに特長やメリット・デメリットがあります。現場によってはフェライトが適している場合もあれば、ネオジムの方が有効な場合もあります。

本記事では、フェライト磁石とネオジム磁石の違いをわかりやすく整理し、マグネットトラップにおける選び方のポイントを詳しく解説します。どちらを選ぶべきかで迷っている方にとって参考になる情報を提供します。

マグネットトラップにおける磁石の役割

マグネットトラップは、製品や原料の中を流れる液体・粉体・顆粒などから金属異物を除去するために使われます。内部には複数の強磁力棒が組み込まれており、そこに流体や原料が通過すると、鉄粉やステンレス片などの磁性異物が吸着されます。
このとき、どの程度小さな異物まで回収できるかは磁石の種類と磁力の強さによって決まります。したがって、磁石選びは導入効果に直結する重要な要素と言えるでしょう。

フェライト磁石とは

フェライト磁石は酸化鉄を主成分とし、セラミックに近い素材でできた磁石です。一般的に黒色をしており、比較的古くから利用されてきました。コストが低く、大量生産がしやすいことから、マグネットトラップ以外にもスピーカーや家電、日用品など幅広い用途に使われています。

フェライト磁石の特長

  • コストが安い:原料価格が低いため、マグネットトラップの導入コストを抑えやすい。
  • 耐熱性に優れる:200℃前後まで安定して使えるため、高温の工程にも対応可能。
  • 耐食性が比較的高い:湿気や薬品に対しても安定しており、錆びにくい。

一方で、磁力はネオジムに比べると弱く、微細な鉄粉やステンレス片の回収には限界があるという弱点もあります。

ネオジム磁石とは

ネオジム磁石は、希土類元素ネオジムを主成分とする強力な永久磁石です。現在市販されている磁石の中では最も磁力が強い部類に入り、マグネットトラップに使用すると微細な鉄粉まで効率的に捕捉できます。

ネオジム磁石の特長

  • 非常に強力な磁力:小さな異物やステンレスの摩耗粉まで除去可能。
  • コンパクトでも高性能:磁力が強いため、装置自体をスリム化できる。
  • 異物除去精度が高い:食品や医薬品など、異物混入リスクを最小限に抑える用途に最適。

ただし、デメリットも存在します。耐熱性は100℃程度までしか持たない場合が多く、高温工程では減磁のリスクがあります。また、錆びやすいため表面コーティングが必須となり、コストもフェライトに比べて高価です。

フェライトとネオジムの比較

両者の違いを整理すると以下のようになります。

項目 フェライト磁石 ネオジム磁石
磁力の強さ 中程度 非常に強力
コスト 低い 高い
耐熱性 高い(200℃前後) 低い(100℃前後)
耐食性 比較的安定 コーティング必須
用途 高温工程・一般用途 高精度異物除去・食品/医薬品

用途別の選び方

マグネットトラップにどちらの磁石を採用すべきかは、用途や工程条件によって異なります。

  • 高温の工程(乾燥・焼成など) → フェライト磁石が適している。
  • 異物混入リスクを最小限にしたい食品・医薬品分野 → ネオジム磁石が望ましい。
  • コストを抑えつつ基本的な異物除去を行いたい場合 → フェライト磁石が無難。
  • ステンレス摩耗粉や微細な異物まで確実に除去したい場合 → ネオジム磁石が効果的。

このように、それぞれの特性を理解したうえで現場条件に合った選択をすることが重要です。

導入前に確認すべきポイント

マグネットトラップを選ぶ際には、単に「磁力が強ければ良い」というわけではありません。以下の観点を踏まえて検討することが推奨されます。

  • 工程の温度条件:高温が常態化しているラインではフェライトを優先。
  • 製品の特性:食品や医薬品は安全性重視でネオジムを選ぶことが多い。
  • ランニングコスト:ネオジムは交換やメンテナンスでコストがかかる場合がある。
  • 設置環境:水分や薬品の多い環境では、ネオジムのコーティング品質も重要。

まとめ

マグネットトラップの性能を大きく左右するのが、内部に搭載される磁石の種類です。フェライト磁石はコストが低く耐熱性に優れるため、高温環境や一般的な異物除去に向いています。一方、ネオジム磁石は圧倒的な磁力で微細な異物まで回収でき、特に食品や医薬品分野など高い安全性が求められる現場で力を発揮します。

どちらが最適かは、導入する工程や求める品質基準によって変わります。導入前に工程条件や求める異物除去レベルを明確にし、それに合わせて磁石を選定することが、効果的で無駄のない投資につながります。

マグネットトラップを選ぶ際には「フェライト」と「ネオジム」、双方の特性を正しく理解し、自社の現場にとって最適な選択を行うことが成功のカギとなるでしょう。

この記事の監修者

ケーケーマグネット株式会社

KK MAGNET 事務局

KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去磁力検査粉体輸送、省人化等の事業です。
プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。

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