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液体用マグネットとは?仕組みと導入メリットをわかりやすく解説

食品や化学、医薬、塗料、飲料などの製造現場では、液体の中に混入する鉄粉や金属片といった「金属異物」が品質トラブルの原因になることがあります。
これらの異物は、機械設備の摩耗や原料の搬送過程で意図せず発生するため、完全に防ぐことは困難です。
そこで近年、液体中の金属異物を効率的に除去する装置として注目されているのが「液体用マグネット」です。

液体用マグネットは、配管ラインやタンクの中を流れる液体の中から鉄粉やステンレス片などの磁性異物を吸着し、製品の安全性と品質を守るために欠かせない存在です。
この記事では、液体用マグネットの仕組みや種類、導入による具体的なメリット、そして選定のポイントについて、専門知識がない方にもわかりやすく解説します。

液体用マグネットとは?基本的な役割と用途

液体用マグネットとは、液体に混ざった磁性異物を除去するための磁気分離装置です。
液体が流れるライン(配管やタンク)に設置し、液体中を通過する微細な鉄粉や金属片を強力な磁力で吸着して除去します。

この装置は、食品製造や飲料充填、化学薬品、塗料、潤滑油、さらには医薬品製造のような高い品質管理が求められる業界で広く活用されています。
特に近年では、HACCP(ハサップ)やISO22000といった衛生管理基準の対応を目的として、液体用マグネットを導入する企業が増えています。

液体中の異物は、目視では確認できないほど小さいものも多く、最終製品の品質に大きく影響します。
液体用マグネットは、こうした微細異物を製造ラインの早い段階で捕捉し、トラブルやクレームを未然に防ぐために導入されています。

液体用マグネットの仕組み

液体用マグネットの基本構造はシンプルです。主に「マグネットバー(磁棒)」と「ハウジング(筒体)」で構成されています。
マグネットバーには高磁力のネオジム磁石が内蔵されており、液体がこの磁棒の周囲を通過する際に、液体中の磁性異物が吸着される仕組みです。

磁力による吸着の原理

磁性体である鉄粉やステンレス片は、磁力線が強く集中する部分に引き寄せられます。
液体がマグネットバーの近くを通ると、金属異物が磁力線に沿って吸着し、流体中から分離されます。
このとき液体の流速が速すぎると吸着効率が低下するため、機器の設計では「流速」と「磁束密度」のバランスが重要になります。

磁束密度と捕捉効率の関係

液体用マグネットの性能を表す指標として「磁束密度(テスラ、T)」があります。
磁束密度が高いほど、微細な金属粉を吸着できる力が強くなります。
一般的には、1.2T〜1.5Tの磁束密度をもつ高性能タイプが食品や医薬分野で採用されることが多く、
工業用オイルや塗料などには、流量を優先した中磁力タイプが選ばれます。

液体用マグネットの主な種類

液体用マグネットには、用途やライン構成に合わせてさまざまな形状・構造があります。代表的なものを紹介します。

1. マグネットフィルター型

配管ラインに直接取り付けるタイプで、内部に複数の磁棒を配置した構造です。
液体が通過する際、磁棒周辺に形成される磁場によって異物を捕捉します。
清掃が比較的容易で、食品・飲料・化粧品業界で多く採用されています。

2. マグネットトラップ型

液体が比較的高粘度の場合に適したタイプです。
トラップ構造内で液体の流れを制御し、磁場内で異物が確実に捕捉されるように設計されています。
粘度のあるソースや調味料、化学スラリー、潤滑油などに利用されています。

3. インラインマグネット型

配管途中に直接組み込まれるタイプで、液体が通過する際に磁棒に触れるよう流路が設計されています。
省スペースで設置できるため、既存ラインへの後付けにも向いています。

4. カートリッジ交換型

定期的にマグネットカートリッジを取り外して洗浄できるタイプです。
分解が簡単で衛生的に保てるため、HACCP対応工場など衛生管理が厳しい現場で採用されています。

液体用マグネットの導入メリット

液体用マグネットを導入することで得られるメリットは多岐にわたります。
以下に代表的な利点を挙げて解説します。

1. 品質トラブルの防止

液体中の鉄粉や金属片を除去することで、製品への異物混入を防ぎます。
これにより、出荷後のクレームや製品リコールといったリスクを大幅に減らすことができます。
特に食品や医薬分野では、わずかな異物でも大きな信頼低下につながるため、品質維持の観点から極めて重要です。

2. 設備の摩耗防止と寿命延長

金属異物は、ポンプやバルブなどの回転・摺動部に摩耗を引き起こします。
液体用マグネットを導入すれば、こうした異物を事前に除去できるため、設備の寿命を延ばし、保守コストを削減できます。

3. 衛生管理・規格対応の強化

食品工場ではHACCPやFSSC22000、医薬品工場ではGMPなどの国際規格対応が求められます。
液体用マグネットの導入は、異物混入防止策の一環として評価され、監査対応にも有効です。

4. 作業効率の向上

近年の液体用マグネットは、ワンタッチでマグネットバーを取り外せる構造や、自動洗浄機能を備えたモデルも登場しています。
これにより、清掃時間の短縮や人為的ミスの減少が実現し、現場の作業効率が大幅に向上します。

液体用マグネットを選ぶ際のポイント

導入時には、単に「磁力が強いもの」を選べば良いわけではありません。
液体の性状や流量、粘度、異物の大きさによって最適なタイプは異なります。

1. 液体の性質を把握する

粘度の高い液体(ソース、シロップ、塗料など)では、液体が磁棒の表面に十分接触しないと除去効率が低下します。
このような場合は、流れを制御するトラップ型や低流速設計の装置が適しています。

2. 捕捉したい異物のサイズを確認する

捕捉対象が微細な鉄粉(数ミクロン単位)の場合は、高磁束密度タイプが効果的です。
一方で、大きめの金属片を対象とする場合は、流量を重視した構造を選ぶことが推奨されます。

3. 清掃のしやすさ・メンテナンス性

定期的な清掃が必要なため、マグネットバーの脱着が簡単かどうかは重要です。
特に食品ラインでは、洗浄後に残留物が残らない設計が求められます。

4. 設置スペースと接続方法

既存ラインに後付けする場合は、配管径や接続フランジの規格に合ったものを選定する必要があります。
現場環境に合わせたカスタム製作も多くのメーカーで対応可能です。

液体用マグネットの導入事例と効果

例えば、食品製造工場では、ソースやドレッシングの製造ラインに液体用マグネットを導入することで、製品中の鉄粉混入率を大幅に削減できた事例があります。
また、化学薬品メーカーでは、原料配合工程で発生する金属粉を効率的に除去し、後工程のフィルター詰まりを防止することで生産性を向上させています。

さらに、潤滑油メーカーでは、液体用マグネットの導入により、製品品質だけでなく設備保全のコスト削減にもつながっています。
このように、液体用マグネットは単なる異物除去装置にとどまらず、「品質・効率・コスト削減」を同時に実現する重要な設備といえます。

まとめ

液体用マグネットは、液体中に混入する鉄粉や金属片などの磁性異物を強力に吸着・除去する装置です。
その仕組みはシンプルながら非常に効果的で、食品や化学、医薬などの幅広い業界で導入が進んでいます。

導入することで、品質トラブルの防止、設備保護、衛生基準対応、作業効率の向上など、さまざまなメリットが得られます。
一方で、液体の性状や流量、捕捉したい異物の種類によって、最適なタイプは異なるため、現場環境に合わせた選定が重要です。

もし現在、液体ラインで異物混入やフィルター詰まりなどの課題を抱えている場合は、
液体用マグネットの導入を検討することで、製品品質と生産効率の両立を実現できるでしょう。

この記事の監修者

ケーケーマグネット株式会社

KK MAGNET 事務局

KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去磁力検査粉体輸送、省人化等の事業です。
プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。

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