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液体用マグネットの選び方|効果を最大化するポイントとは

液体の中に混入する金属異物は、食品や飲料、化学薬品、塗料、さらには医薬品など、多くの製造現場で発生する共通の課題です。
こうした異物を放置すると、製品の品質低下や設備トラブル、最悪の場合は出荷停止やリコールといった深刻な事態を招くこともあります。

このようなリスクを防ぐために欠かせない装置が 「液体用マグネット」 です。
液体中に混ざった鉄粉や金属片などの磁性異物を強力な磁力で吸着・除去するこの装置は、
生産ラインの品質向上と安定稼働に大きく貢献します。

しかし、ひと口に液体用マグネットといっても、その構造や磁力、形状、設置方法は多岐にわたります。
液体の性状や流量、異物の大きさによって最適なタイプは異なり、誤った選定をすると「思ったほど除去できない」「清掃が大変」といった問題が発生します。

そこで本記事では、液体用マグネットを最大限に活用するための選び方を、わかりやすく丁寧に解説します。
導入を検討している方や、既存装置の見直しを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

液体用マグネットの役割を再確認

液体用マグネットの主な役割は、液体中に混入する磁性異物を捕捉・除去することです。
液体がマグネット内部を通過する際、磁場によって鉄粉や金属片が吸着されます。
これにより、製品中の異物混入を防ぐだけでなく、配管やポンプ、バルブなどの設備保護にもつながります。

食品工場ではスープやドレッシング、飲料、ソースなど、粘性のある液体にも対応できる設計が求められます。
一方で、化学工場や塗料製造では、薬品や溶剤への耐食性が重視されます。
このように、液体用マグネットは業種や用途に応じて構造・素材・磁力の選定が重要になります。

液体用マグネットの選び方|基本の考え方

液体用マグネットを選ぶ際に最も重要なのは、「除去対象」と「液体の特性」を明確にすることです。
ここを曖昧にしたまま選定を進めると、思うような効果が得られません。

1. 液体の性質(粘度・温度・流速)を把握する

液体の性質は、マグネットの性能に大きく影響します。
たとえば、サラサラした水状の液体であれば、比較的低粘度対応の標準タイプで十分な除去が可能です。
しかし、ソースやドレッシング、ペースト状の化学物質のように粘度が高い場合は、液体が磁棒の表面に密着しにくく、吸着効率が低下します。

そのため、粘度の高い液体には、流路を広く設計したトラップ型や低流速型のマグネットが向いています。
また、高温の液体を扱う場合は、磁石の耐熱温度も重要です。ネオジム磁石は一般的に80〜150℃程度までが使用限界であり、
それ以上の温度ではサマリウムコバルトなど高耐熱タイプの磁石を選ぶ必要があります。

2. 除去したい異物の種類と大きさを確認する

液体中の異物は、肉眼で確認できる大きな金属片から、数ミクロン単位の鉄粉までさまざまです。
目標とする除去対象によって、必要な磁束密度(磁力の強さ)や構造が変わります。

鉄粉・ステンレス粉(微細異物) 1.2〜1.5テスラの高磁力タイプが効果的
金属片・ネジ片など(粗大異物) 1.0テスラ程度でも十分捕捉可能

また、ステンレス粉は磁性が弱いため、一般的なマグネットでは除去しきれない場合があります。
その場合は「高磁束密度タイプ」または「磁場を多重化した構造」を持つ製品を選定することで効果を高められます。

3. 設置位置と流量を考慮する

液体用マグネットは、配管の途中やタンク前後など、液体が流れるライン上に設置します。
設置位置を誤ると、せっかくの磁力も十分に発揮できません。

基本的には、液体が最も安定した状態で流れる区間、またはポンプやフィルターの直前に設置するのが効果的です。
フィルターの前にマグネットを置けば、フィルターへの負担が減り、目詰まりを防ぐ効果も期待できます。

また、液体の流量が多いラインでは、液体の通過速度が速すぎると捕捉効率が低下します。
そのため、流量に応じた適正な通過面積と流速を設計できる装置を選ぶことが大切です。

4. 清掃性・メンテナンス性を重視する

液体用マグネットは、定期的な清掃が不可欠です。
捕捉した金属異物をそのままにしておくと、磁力線の通り道が塞がれ、除去性能が落ちてしまいます。

清掃性を高めるために、現在ではマグネットバーをワンタッチで脱着できるタイプや、自動洗浄機能付きタイプも登場しています。
食品業界では洗浄頻度が高いため、構造がシンプルで分解洗浄しやすいモデルを選ぶと、衛生管理の面でも安心です。

また、清掃時に磁石がむき出しにならない「カバー付きタイプ」を選ぶと、作業者の安全も確保できます。

5. 材質と耐食性を確認する

液体用マグネットは、液体が直接触れるため、耐食性の高い素材を選ぶことが重要です。
一般的には、SUS304またはSUS316Lのステンレスが使用されます。
特に酸性やアルカリ性の液体を扱う場合は、SUS316Lを選定することで長期間安定した性能を保てます。

化学薬品や塗料など、腐食性の強い液体を扱う現場では、フッ素樹脂コーティングや特殊メッキ仕上げを施したタイプも検討すべきです。
このように、使用環境に応じた耐食性の確認は、マグネットの寿命を左右する重要なポイントです。

液体用マグネットの主なタイプと特徴

液体用マグネットには、処理する液体の粘度や流量、設置環境に応じてさまざまな構造があります。
ここでは、使用現場で多く採用されている代表的なタイプをわかりやすく紹介します。

1. パイプイン型(挿入式マグネット)

配管の内部に磁力棒を直接挿入して異物を除去するタイプです。
液体の流れに沿って磁石を配置するため、金属異物が効率よく吸着されます。
比較的簡単に取り付けでき、既存ラインの改造が少ない点が大きなメリットです。
定期的に引き抜いて洗浄するだけでメンテナンスが可能なため、
食品工場や化学プラントなど、衛生管理を重視する現場で多く利用されています。

2. チャンバー型(多段構造タイプ)

流路の内部に複数の磁石ユニットを段階的に配置し、
液体が段階的に通過する仕組みを持つタイプです。
一度にすべての異物を取り除くのではなく、段階的に捕集するため、
磁力損失が少なく、長時間安定した除去性能を維持できます。
また、磁場の分布を均一に設計できるため、液体の流れにムラが生じにくく、
品質管理を求められる製造ラインに適しています。

3. スリーブ付きマグネット型

磁石の表面を保護スリーブ(非磁性ステンレスなど)で覆ったタイプです。
直接液体に磁石が触れないため、腐食や摩耗を防止できます。
高温や薬品を扱う現場でも使用でき、耐久性と安全性を両立します。
また、スリーブを外すだけで洗浄ができるため、メンテナンス性にも優れています。
製造コストはやや高めですが、長期的に見ると安定稼働に貢献します。

このように、液体用マグネットには設置方法や目的に応じてさまざまなタイプが存在します。
ラインの流速・液体の粘度・異物の粒径などを考慮して、
最適な構造を選定することが除去性能の最大化につながります。

導入前に確認したいチェックポイント

  • どのような異物を除去したいのか(鉄粉・金属片・ステンレス粉など)
  • 液体の粘度・温度・流量
  • 設置可能なスペースと配管サイズ
  • 清掃頻度とメンテナンス体制
  • 使用する業界の衛生・安全基準
  • これらを整理した上でメーカーや専門業者に相談すれば、最適な機種を提案してもらうことができます。
    現場ごとに最適設計を行うことで、除去効率を最大化できるでしょう。

    まとめ

    液体用マグネットは、液体中の金属異物を除去し、製品品質を守るための重要な装置です。
    しかし、その効果を最大限に発揮するには、液体の性状・異物の種類・設置条件・清掃性といった多くの要素を考慮した選定が欠かせません。

    選定を誤ると、せっかく導入しても性能を活かせず、逆に作業負担が増える場合もあります。
    そのため、現場環境に合わせた機種選定と、定期的なメンテナンスが成功の鍵となります。

    品質トラブルを未然に防ぎ、安定した生産を続けるためにも、
    ぜひ今回紹介したポイントを参考に、最適な液体用マグネットを導入してみてください。

    この記事の監修者

    ケーケーマグネット株式会社

    KK MAGNET 事務局

    KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去磁力検査粉体輸送、省人化等の事業です。
    プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。

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