プレートマグネットの磁力はどこまで必要？ラインに合わせた最適な選び方

食品工場や製造ラインにおいて、金属異物の混入は常に注意が必要な課題です。微細な鉄粉やステンレス片でも製品品質や安全性に大きく影響し、場合によってはリコールにつながることもあります。そのため、異物除去のための装置選びは非常に重要です。

中でも「プレートマグネット」は設置が容易で、強力な磁力によって異物を除去できる装置として多くの食品工場で活用されています。しかし、磁力が強ければ良いというわけではなく、ラインの特性に合わせた最適な磁力選定が必要です。本記事では、プレートマグネットの磁力の考え方や、ラインに合わせた選び方のポイントをわかりやすく解説します。

プレートマグネットの基本と磁力の役割

プレートマグネットは、板状の磁石を利用して原料中の金属異物を吸着する装置です。原料がプレート表面を通過する際に、鉄片やステンレス破片が磁力によって引き寄せられ、除去されます。磁力は異物除去の性能を決定する重要な要素であり、単に「強ければ良い」という考え方では不十分です。

磁力の単位と測定

磁力は「磁束密度（ガウスまたはテスラ）」で表されます。磁束密度が高いほど、微細な金属粉まで吸着する能力が向上します。しかし、原料の形状や流れ速度によって必要な磁力は変わります。極端に高い磁力を選んでも、ラインの処理速度や原料の性質に適さなければ効果は最大化されません。

磁力が不足するとどうなるか

磁力が弱すぎる場合、微細な金属片はプレートに吸着されず、製品中に残ってしまいます。これは異物混入リスクを高め、製品の安全性や工場の信頼性に直結する問題です。また、磁力不足は「見かけ上の除去能力」にも影響し、異物除去効率が不安定になります。

ラインに合わせた磁力選定のポイント

プレートマグネットの磁力を決める際は、ラインの特性を正確に把握することが重要です。ここでは、食品工場で押さえておくべき主なポイントを解説します。

原料の種類と粒度

粉体、粒体、液体など、原料の形状や粒度によって最適な磁力は異なります。粉体の場合は微細な鉄粉の吸着が求められるため、高磁力タイプのネオジム磁石が向いています。一方、粒体やペレット状の原料では、原料が接触しやすいようにプレートの配置や磁力を調整する必要があります。

ラインの速度と処理量

高速で原料が流れるラインでは、磁力が弱いと異物を引き寄せる時間が不足し、除去効率が下がります。処理量が多い場合も同様に、プレート面積や磁力をラインの流量に合わせて選ぶことが必要です。場合によっては複数枚のプレートを配置して、確実に異物を吸着する設計が推奨されます。

異物の種類とサイズ

食品工場で問題となる金属異物には、鉄片、ステンレス粉、加工機械の摩耗片などがあります。鉄片は比較的大きい場合でも磁力で容易に吸着できますが、微細なステンレス破片や粉末はより強力な磁力を必要とします。ラインにおける異物の傾向を分析し、必要な磁力を設定することが重要です。

磁力選定の実務的手順

ラインに適した磁力を選ぶには、次のようなステップで検討するのが一般的です。

1. 異物のリスク評価

まず、製造ラインに存在する可能性のある金属異物の種類とサイズを把握します。製造機械の摩耗状況や原料の入荷状態も確認し、異物混入リスクを明確化します。

2. プレート設置位置の検討

落下ライン、シュート内、コンベア側面など、原料の流れに沿った最適な設置位置を検討します。原料が磁力に接触する時間を十分確保することがポイントです。

3. 磁力の目安決定

異物サイズやライン速度に応じて磁束密度を決定します。微細な異物を除去する場合は高磁力のネオジム磁石、大きめの鉄片中心であればフェライト磁石でも対応可能です。

4. 実地テストと調整

実際に原料を流してテストを行い、除去効率を確認します。必要に応じて磁力の強化、プレート面積の増設、設置角度の変更などを行い、ラインに最適化します。

メンテナンスと磁力維持の重要性

最適な磁力を設定しても、日常のメンテナンスが不十分であれば除去性能は低下します。プレート表面に吸着した金属粉を放置すると、磁力が異物に吸収され、新たな異物を引き寄せにくくなります。

定期的な清掃、外装チェック、磁力測定を行うことで、常にラインに適した磁力を維持できます。また、HACCPなどの食品安全基準に準拠する場合、定期的な点検記録も重要です。

磁力選定で失敗しないための注意点

プレートマグネットの磁力選定でありがちな失敗には以下があります。

• ライン速度や処理量を考慮せず、単純に「強力な磁石」を選ぶ
• 原料の形状や異物の種類を把握せずに磁力を決める
• 設置位置が不適切で、原料が磁力に触れない

これらの点を避けるためには、事前のライン分析とテスト運用が欠かせません。必要に応じて専門業者に相談することも、失敗を防ぐ有効な手段です。

まとめ

プレートマグネットの磁力は「強ければ良い」わけではなく、ラインの特性や異物の種類に合わせて最適化することが重要です。原料の形状、流量、ライン速度、異物の種類を踏まえた上で磁力を選定することで、安定した異物除去性能を実現できます。

さらに、日常的な清掃や磁力測定を行い、常に適切な状態を維持することも必要です。食品工場での異物混入リスクを最小限に抑え、安全で高品質な製品を生産するためには、プレートマグネットの磁力をラインに合わせて最適に選ぶことが欠かせません。

この記事の監修者

KK MAGNET 事務局

KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去・磁力検査や粉体輸送、省人化等の事業です。
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