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プレート型マグネットの強さ比較|フェライト磁石とネオジム磁石の違いをわかりやすく解説
金属異物除去対策として多くの製造現場で使用されているプレート型マグネットですが、選定時に必ず話題となるのが「磁石の種類による強さの違い」です。特に、フェライト磁石とネオジム磁石のどちらを選ぶべきかで悩む担当者は少なくありません。
「ネオジムの方が強いらしい」「フェライトでも十分では?」といった情報は耳にするものの、それぞれの特徴や適した用途を正しく理解しないまま導入すると、金属異物が十分に除去できなかったり、逆にオーバースペックとなりコストや運用負荷が増えたりすることがあります。
プレート型マグネットは、単に磁力が強ければ良いという装置ではありません。原料の種類、工程条件、除去したい金属異物の大きさや量によって、最適な磁石は異なります。その中核となる判断材料が、フェライト磁石とネオジム磁石の違いです。
本記事では、プレート型マグネットに使用されるフェライト磁石とネオジム磁石の強さを中心に、構造的な違い、性能差、向いている用途、選定時の考え方までをわかりやすく解説します。初めて導入を検討している方はもちろん、既存設備の見直しを考えている方にも役立つ内容となっています。
目次
プレート型マグネットに使われる磁石の基本
プレート型マグネットは、内部に磁石を組み込み、表面から発生する磁力によって金属異物を吸着する装置です。この内部磁石として主に使用されているのが、フェライト磁石とネオジム磁石です。
両者は同じ「永久磁石」ではあるものの、磁力の強さ、耐久性、コスト、取り扱い特性に大きな違いがあります。まずは、それぞれの磁石の特徴を整理していきましょう。
フェライト磁石とは
フェライト磁石は、酸化鉄を主成分とする磁石で、工業用途において古くから広く使用されています。プレート型マグネットの中でも、標準仕様として採用されることが多い磁石です。
フェライト磁石の最大の特徴は、安定性とコストバランスの良さにあります。磁力はネオジムに比べると弱いものの、温度変化や衝撃に強く、経年劣化が起こりにくいという利点があります。
フェライト磁石の主な特徴
- 磁力は中程度で安定している
- 耐熱性が高く、使用環境を選びにくい
- コストが比較的低く導入しやすい
- 取り扱いが容易で安全性が高い
このような特性から、フェライト磁石は「大きめの鉄片」や「発生頻度の高い金属異物」を除去する工程で多く使用されています。
ネオジム磁石とは
ネオジム磁石は、ネオジム・鉄・ホウ素を主成分とする希土類磁石で、現在実用化されている永久磁石の中でもトップクラスの磁力を誇ります。
プレート型マグネットにネオジム磁石を使用することで、微細な鉄粉や弱磁性体まで吸着できる点が大きな特徴です。特に、品質要求が厳しい食品・医薬品・電子部品関連の工程で多く採用されています。
ネオジム磁石の主な特徴
- 非常に強い磁力を持つ
- 微細な金属異物の捕捉に優れる
- 装置をコンパクトに設計できる
- 高性能だがコストは高め
一方で、強力な磁力ゆえに取り扱いには注意が必要であり、清掃性や安全対策を十分に考慮する必要があります。
プレート型マグネットにおける「強さ」の違い
フェライト磁石とネオジム磁石の最も大きな違いは、磁束密度(磁力の強さ)です。一般的に、ネオジム磁石はフェライト磁石の数倍以上の磁力を持つとされています。
この差は、実際の金属異物除去性能に直結します。フェライト磁石では捕捉できなかった微細な鉄粉が、ネオジム磁石では確実に吸着されるというケースも珍しくありません。
ただし、重要なのは「強い=万能」ではないという点です。磁力が強すぎることで、以下のような課題が生じる場合もあります。
- 吸着物が強固に張り付き、清掃に時間がかかる
- 異物の量が多いと表面がすぐに飽和する
- 作業者の安全対策が必要になる
用途別に見る最適な磁石の選び方
フェライト磁石が向いているケース
フェライト磁石は、以下のような条件の工程に適しています。
- 比較的大きな鉄片が主な対象
- 異物発生量が多い
- 高温環境で使用する
- コストを抑えたい
一次除去や粗取り工程として使用する場合には、フェライト磁石でも十分な効果を発揮することが多く、コストパフォーマンスに優れています。
ネオジム磁石が向いているケース
一方で、ネオジム磁石は以下のような工程に適しています。
- 微細な鉄粉・摩耗粉の除去が必要
- 品質基準が非常に厳しい
- 最終工程での異物対策
- 設置スペースが限られている
特に、「フェライトでは取り切れない異物がある」と感じている現場では、ネオジム磁石への切り替えが大きな改善につながるケースもあります。
強さだけで選ばないことが重要
プレート型マグネットの選定において、磁石の強さは確かに重要な要素ですが、それだけで判断するのは危険です。原料の流れ、設置位置、清掃頻度、作業環境など、運用面まで含めて総合的に考える必要があります。
例えば、フェライト磁石でも設置位置を最適化すれば、十分な除去効果を得られる場合があります。逆に、ネオジム磁石を使用しても、配置が悪ければ期待した性能を発揮できません。
まとめ
プレート型マグネットに使用されるフェライト磁石とネオジム磁石は、それぞれ明確な特徴と役割を持っています。フェライト磁石は安定性とコストに優れ、ネオジム磁石は圧倒的な磁力によって微細な金属異物まで除去できる点が強みです。
重要なのは、「どちらが優れているか」ではなく、自社の工程や目的にどちらが適しているかを見極めることです。異物の種類やサイズ、発生量、設置環境を正しく把握することで、過不足のない最適なプレート型マグネットを選定することができます。
金属異物除去は品質を支える重要な工程です。磁石の強さの違いを正しく理解し、フェライトとネオジムを使い分けることで、より安定した生産と品質向上を実現していきましょう。
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この記事の監修者
KK MAGNET 事務局
KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去・磁力検査や粉体輸送、省人化等の事業です。
プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。
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