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バーマグネット(マグネットバー)とは?仕組み・用途・導入メリットをわかりやすく解説|金属異物除去の基本と選び方
製造現場で「金属片が混入してしまったらどうしよう」「異物混入対策を強化したい」と感じたことはないでしょうか。食品、化学、樹脂、リサイクル、粉体、液体など、どの業界でも金属異物の混入リスクはゼロにはできません。原料由来の鉄粉、設備摩耗による金属片、工具の欠け、搬送ラインの擦れなど、発生源が多いのが現実です。その対策として、比較的シンプルな構造で導入しやすく、しかも継続的に金属異物の捕集ができる装置がバーマグネット(マグネットバー)です。
バーマグネットは、磁石の力で金属を引き寄せて取り除くため、電源不要で運用できるケースも多く、現場の負担を増やしにくいのが特長です。一方で、「設置すれば必ず取れる」という万能アイテムではなく、仕組みや特性を理解しておかないと期待した効果が出ないこともあります。
この記事では、バーマグネット(マグネットバー)の仕組み・用途・導入メリットを軸に、現場で失敗しないための考え方までを説明調でわかりやすく整理します。
目次
バーマグネット(マグネットバー)とは
バーマグネット(マグネットバー)とは、棒状(バー状)に成形された磁力部を持ち、周囲にある金属異物を吸着して捕集するための磁選(じせん)部材です。見た目はステンレスの棒に見えることが多く、内部に強力な磁石が組み込まれています。製品によっては、単体で使うだけでなく、複数本を並べてフレームに組み込んだ「マグネットグリッド(格子)」として使われることもあります。
バーマグネットは「金属異物除去装置」と聞くと大掛かりに感じる方にも導入しやすい部類で、工程の要所に追加しやすいのが魅力です。粉体・粒体・液体・スラリーなど、さまざまな材料に対して使われ、特に鉄系の異物(磁性体)を捕集する用途でよく活躍します。
「バーマグネット」と「マグネットバー」は同じ?
呼び方は異なりますが、一般的には同じものを指すケースが多いです。現場では「マグネットバー」と呼ぶことが多く、カタログや技術資料では「バーマグネット」と表記されることもあります。どちらの表現でも検索されるため、記事や製品ページでは併記すると取りこぼしが減ります。
バーマグネットの仕組み|なぜ金属が取れるのか
バーマグネットの基本原理は非常にシンプルで、磁石の磁力によって金属異物を引き寄せ、表面に吸着させることで分離します。電源を使って駆動するタイプではなく、磁力そのものを利用するため、構造としては「磁力で捕まえる」ことに特化しています。
ただし、ここで大切なのは「磁力が強いほど何でも取れる」という誤解を避けることです。磁力には届く距離があり、対象物の大きさや形状、材質、流れ方(速度・層厚)によって捕集率は大きく変わります。
磁力は「距離」で一気に弱くなる
バーマグネットを理解する上で最重要なのが距離の影響です。磁石の吸引力は、対象との距離が離れるほど急激に低下します。つまり、バーマグネットから離れた場所を材料が流れていると、いくら強い磁石でも捕集しにくくなります。現場で「思ったより取れていない」と感じるケースは、磁力不足よりも設置位置や通過距離、層厚が原因になっていることが少なくありません。
「表面磁束密度(ガウス)」だけで判断しない
磁石の性能指標として、表面磁束密度(ガウスやテスラ)が紹介されることが多いです。もちろん重要な要素ですが、実際の捕集力は、表面だけではなく磁力の分布(磁場の広がり)や、通過する材料の状態に左右されます。例えば、表面は強力でも「材料がバーから遠い」「材料の層が厚い」「流速が速い」場合、金属異物がバーまで近づく前に流れてしまい、結果として捕集できません。
どんな金属異物が取れる?取れない?
バーマグネットは主に磁性体の捕集が得意です。鉄粉や鉄片、磁性を帯びた金属片などは比較的吸着しやすい一方で、すべての金属が同じように取れるわけではありません。
取れやすい代表例(磁性体)
一般的に捕集しやすいのは、鉄、鋼(スチール)、一部のステンレス(磁性を帯びるもの)などです。設備摩耗によって発生する鉄粉、ボルトやワッシャーの欠け、工具由来の小片などが典型例です。
注意が必要な金属(弱磁性・非磁性)
アルミ、銅、真鍮などは基本的に磁石に付きません。また、ステンレスでもSUS304などは条件によっては磁性が弱く、形状や加工状態によって反応に差が出ます。ここで重要なのは、「ステンレスだから取れない」と決めつけないことです。ステンレスでも加工硬化や成分によって磁性が出る場合があり、現場の異物サンプルを確認した上で仕様を検討するのが確実です。
バーマグネットの主な用途|どこで使われる?
バーマグネットは「工程の中に置くだけ」で機能する設計が多く、用途は幅広いです。以下では、よくある導入シーンを、流れのイメージがつきやすい形で整理します。
粉体・粒体工程(ホッパー、シュート、投入部)
粉体や粒体は、投入・落下・搬送のどこかで金属が混入するリスクがあります。特に原料袋の開封時、搬送スクリューやバケットエレベーター、ふるい機周辺などは発生源になりやすいポイントです。バーマグネットはホッパー上部やシュート途中に設置され、材料が通過する際に金属を捕集します。粉体は層厚が出やすいため、バーに近い距離を通す設計が重要です。
液体・スラリー工程(配管、タンク出口、充填前)
液体ラインでは、配管内で金属片が流れると、後工程でノズル詰まりや品質事故につながることがあります。バーマグネットは単体というより、ハウジングに組み込んだ形(マグネットトラップに近い形)で導入されることが多いです。液体は流速の影響が大きいため、捕集部での滞留・接触時間をどう確保するかがポイントになります。
食品・医薬・化粧品など衛生要件が厳しい工程
この領域では、異物除去性能だけでなく、洗浄性・衛生性が重要になります。表面が滑らかで洗いやすい構造、耐食性の高い材質、分解・清掃しやすい設計が求められます。バーマグネットはサニタリー仕様として展開されていることも多く、HACCPや異物管理の強化の一環として採用されやすい部材です。
導入メリット|バーマグネットが選ばれる理由
ここでは、バーマグネットが現場で採用される代表的なメリットを、実務目線で整理します。
電源不要でシンプルに運用できる
多くのバーマグネットは、磁石の力だけで機能するため、電源や制御が不要です。装置としての故障リスクが少なく、導入後の運用が比較的安定します。また、既存設備に後付けしやすい点も魅力で、工程を止める時間や改造範囲を最小限にしながら異物対策を強化できる可能性があります。
継続的に「入り口で止める」対策ができる
金属異物は後工程に流れるほど、回収コストも事故リスクも増えます。バーマグネットを要所に入れることで、できるだけ早い段階で捕集し、トラブルを未然に防げます。結果として、クレームや再製造、設備停止といった損失を抑える効果が期待できます。
品質・安全・設備保護の3点に効く
バーマグネットの価値は「品質」だけではありません。金属片が混入すれば食品や製品の安全性に直結しますし、設備の破損や詰まりの原因にもなります。つまり、バーマグネットは品質管理・安全管理・設備保全を同時に支える部材として位置づけられます。
失敗しないための基本ポイント|「効かない」を防ぐ考え方
バーマグネットは便利ですが、導入後に「期待ほど取れない」となるケースもあります。ここでは、よくある原因を“考え方”として整理します。箇条書きに頼らず、現場で判断できる軸を作るのが目的です。
ポイント1:材料がバーに近づく設計になっているか
最初に確認すべきは、材料の流れがバー表面の近くを通っているかどうかです。粉体の層が厚い場合、上層はバーから離れ、異物が近づく機会が減ります。対策としては、バーの本数を増やして格子状にする、流路を狭めて通過距離を短くする、落下時にバー付近を通るように配置するなど、距離と通過条件の最適化が基本です。
ポイント2:流速が速すぎないか(接触時間の確保)
液体やスラリーでは、流速が速いと金属異物が捕集部に引き寄せられる前に流れてしまいます。捕集したい対象が微細であればあるほど、接触時間が重要になります。「流れを落とせない」工程もありますが、その場合は捕集部の形状を工夫して滞留を作るなど、装置側で補う発想が必要です。
ポイント3:清掃頻度が適切か(捕集面が埋まっていないか)
バーマグネットは、捕集すればするほど表面に異物が溜まります。溜まりすぎると、新たな異物が付きにくくなったり、堆積物が流れを乱して狙い通りの捕集ができなくなったりします。だからこそ、導入後は「設置して終わり」ではなく、捕集量に合わせた清掃ルールが不可欠です。捕集量が多い工程ほど、清掃のしやすさが選定要件になります。
選び方の基本|仕様決めで迷いやすいポイント
バーマグネットの選定では、磁力だけでなく、材質、サイズ、耐熱性、使用環境など複数要素が絡みます。ここでは、判断の軸をわかりやすくまとめます。
材質:SUS304 / SUS316Lなど「環境」に合わせる
外装のステンレス材質は、腐食や薬品、洗浄条件に影響します。水分や塩分、洗剤、酸・アルカリなどが関わる現場では、耐食性の観点が重要です。衛生要求が高いラインでは、表面仕上げの滑らかさや洗浄性も見逃せません。
サイズ:径・長さは「通過条件」とセットで考える
バーの径や長さは、単に設置スペースで決めるのではなく、材料がどう通るかとセットで考える必要があります。広い流路に細いバーを1本置いても、材料が離れて流れれば捕集しにくくなります。狙いは常に、捕集したい異物がバーに近づく確率を上げることです。
耐熱:温度条件で磁力低下や劣化を防ぐ
高温環境では、磁石の種類や設計によって磁力が低下することがあります。乾燥工程、加熱工程、温水洗浄があるラインなどでは、使用温度に対応した仕様を選び、長期的な性能維持を狙うことが大切です。
バーマグネット導入の流れ|検討から運用まで
最後に、導入をスムーズに進めるための現実的な流れを紹介します。必要以上に複雑にせず、最低限押さえるべき順序に絞ります。
1)混入している異物を把握する
最初にやるべきは、実際に混入している金属異物の種類、サイズ、発生工程の仮説を立てることです。可能であれば異物を回収し、磁性の有無や形状を確認します。ここが曖昧だと、仕様が過剰になったり、逆に不足したりします。
2)設置場所を「早い工程・近い距離」で決める
次に、どこで止めるかを考えます。基本は、後工程に行く前、できるだけ早い段階です。そして、材料がバーに近づく構造にできる場所を優先します。設置スペースだけで決めないことが重要です。
3)清掃・点検ルールまで含めて運用設計する
導入効果は、運用で大きく変わります。清掃頻度、清掃手順、回収物の記録(どの工程でどれだけ捕集したか)まで整えると、異物発生源の特定や設備改善にもつながります。バーマグネットは「除去」だけでなく、異物管理の見える化にも役立つと考えると投資対効果が高まります。
まとめ
バーマグネット(マグネットバー)は、棒状の磁力部で金属異物(主に磁性体)を吸着・捕集する、シンプルで導入しやすい異物対策部材です。粉体・粒体・液体・スラリーなど多様な工程で使われ、電源不要で運用できるケースが多いことから、現場の負担を増やしにくいのが強みです。
一方で、効果を左右する最大要因は「磁力の数値」だけではなく、バーとの距離、材料の層厚、流速、設置位置、清掃頻度といった運用条件にあります。特に磁力は距離で急激に弱くなるため、材料がバーに近づく設計ができているかが成否を分けます。
選定時は、材質(耐食・衛生)、サイズ(径・長さ・本数)、耐熱などを工程条件と照らし合わせ、導入後は清掃・点検まで含めた運用設計を行うことで、安定した異物対策につながります。
バーマグネットは「設置して終わり」ではなく、工程の品質と安全を支える継続的な異物管理の仕組みとして活用することで、より大きな価値を発揮します。用途やライン条件に合わせて最適な形を選び、金属異物リスクを着実に下げていきましょう。
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この記事の監修者
KK MAGNET 事務局
KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去・磁力検査や粉体輸送、省人化等の事業です。
プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。
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