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異物の粒径別:バーマグネットで取れるもの/取れないものを整理|捕集の限界と対策をわかりやすく解説
製造現場で金属異物対策を考えるとき、「バーマグネット(マグネットバー)を入れておけば安心」と思われがちです。たしかにバーマグネットは、電源不要で導入しやすく、ラインの要所に追加するだけで金属異物の捕集が期待できる便利な方法です。
しかし実際には、「設置したのに思ったほど取れていない」「異物が後工程で見つかってしまう」といった声も少なくありません。この差が生まれる理由のひとつが、異物の粒径(サイズ)です。金属異物は大きければ取れる、という単純な話ではなく、微細になればなるほど捕集条件がシビアになり、逆に大きすぎる異物は別のリスクも抱えます。
さらに、粒径だけでなく、異物の材質(鉄かステンレスか)、形状(粉か破片か)、材料の流れ方(層厚・流速)、バーマグネットとの距離などが複合的に絡みます。つまり「取れる/取れない」を判断するには、粒径を軸にしつつ、現場条件をセットで整理する必要があります。
この記事では、異物の粒径別に「バーマグネットで取れるもの/取れないもの」をわかりやすく分類し、捕集の限界を理解したうえで、現場で取りこぼしを減らす対策までを説明します。導入検討中の方はもちろん、すでに設置しているが効果に不安がある方にも役立つ内容にまとめます。
目次
まず押さえるべき前提|「粒径」だけでは決まらない
粒径別の話に入る前に、バーマグネットの捕集メカニズムを前提として整理しておきます。バーマグネットは、磁力で金属異物を引き寄せ、表面に吸着させて分離します。ここで重要なのは、捕集の成否が「磁力の強さ」だけで決まらず、異物がバーに近づく機会で大きく変わる点です。
磁力は距離が離れるほど急激に弱くなります。つまり、異物がバーマグネットの表面近くを通らなければ、粒径がある程度大きくても捕集できないことがあります。逆に、異物が微細でも、バーに近い距離を低速で通る条件が作れれば捕集できる可能性が上がります。
また、同じ粒径でも材質によって磁性の強さが違います。鉄粉は比較的吸着しやすい一方で、ステンレスの一部や弱磁性の金属片は吸着力が弱く、粒径が小さくなるほど難易度が上がります。
このため、この記事では粒径を「目安」として整理しつつ、実務で判断しやすいように、距離・流速・層厚・形状・材質の観点を織り込みながら解説します。
粒径別に見る|バーマグネットで「取れる」目安と「落としやすい」領域
粒径が大きい異物(例:数mm~数cm)|取れやすいが“別リスク”もある
ボルト片、ナットの欠け、工具の破片、設備部品の欠損など、目視で確認できるレベルの大きい金属異物は、一般的にバーマグネットで捕集しやすい領域です。質量があり、磁力がかかればバーに引き寄せられやすいためです。
ただし、大きい異物には注意点があります。異物自体が重い場合、流速が速いと慣性で流れに乗り、バーに吸着する前に通過することがあります。また、衝撃でバーやハウジングを傷つけたり、捕集した異物が振動で落下したりするリスクもあります。
さらに、数cm級の異物が混入するということは、設備の破損や工程トラブルが発生している可能性が高く、バーマグネット以前に発生源対策が必要なケースが多いです。大きい異物が取れたこと自体を「安心材料」と捉えるよりも、「異常の兆候」として扱う方が安全です。
中粒径の異物(例:0.5mm~数mm)|現場で最も狙うべき“現実的ターゲット”
現場で最も頻繁に問題になりやすいのが、この中粒径帯です。設備摩耗で発生する小片、切削片、鉄片、スプリングの削れなど、目視では気づきにくいが、品質事故につながり得るサイズがこの領域に集中します。
このサイズ帯は、バーマグネットの導入目的としても現実的で、適切に設置できれば高い捕集効果が期待できます。ポイントは、異物がバー表面の近くを通るように設計することです。粉体であれば層厚を抑える、液体であれば捕集部の接触時間を確保する、といった工夫で捕集率が大きく変わります。
中粒径は「取れる」と言い切りやすい領域である一方、設置が甘いと取りこぼしが発生します。ここで重要なのは、磁力の強いバーを選ぶことより、通過条件を整えることです。距離と流れを整えるだけで、同じバーでも結果が変わります。
微細な異物(例:数十μm~0.5mm)|取れることもあるが条件が厳しい
鉄粉や微細な摩耗粉など、粉状の金属異物は、バーマグネットで捕集できる場合もありますが、条件が厳しくなります。理由は単純で、粒子が小さいほど、流れの影響を受けやすく、バーに近づく前に通過してしまうためです。
粉体ラインでは、材料の層厚が厚いと微細異物はバーまで到達しにくくなります。液体ラインでは、流速が速いほど接触時間が不足しやすくなります。つまり、この領域を狙う場合は、バーマグネットを単体で入れるだけでは足りず、複数本で格子状に組む、流路を狭める、捕集部を増やすなど、接触機会を増やす設計が必要になります。
また、微細異物は捕集できたとしても、清掃を怠ると堆積しやすく、バー表面が粉で覆われて捕集力が低下することがあります。微細領域は、捕集力よりも運用の設計(清掃頻度)が成否を分けることも多いです。
超微細(例:数μm~数十μm)|バーマグネット単独では“狙いにくい”領域
さらに微細になると、バーマグネットだけで安定して捕集するのは難しくなります。もちろん全く取れないわけではありませんが、「必ず除去する」レベルを期待すると、現場ではギャップが出やすい領域です。
このサイズ帯は、粉体の静電気、材料の粘性、流れの乱れなどの影響を強く受け、捕集が不安定になりやすいです。異物の材質が鉄粉であればまだ可能性はありますが、弱磁性や非磁性が混ざるとさらに厳しくなります。
この領域まで管理したい場合は、バーマグネットを“前段対策”として位置づけ、別方式(ろ過、スクリーン、検査機、工程改善)と組み合わせて総合的に対策するのが現実的です。バーマグネットの役割は、あくまで磁性体を工程の早い段階で減らすことにあります。
「取れない」原因を粒径別に分解する|よくある勘違い
勘違い1:粒径が小さいから取れない
小さいから取れない、という判断は半分正しく、半分は誤解です。確かに微細になるほど難しくなりますが、実際には「小さいから」よりも「バーに近づいていないから」取れていないケースが多いです。
例えば、粉体で層厚が厚い、液体で流速が速い、バーが流路の端にしかない、といった条件では、異物がバー近傍を通りません。粒径に関係なく捕集が不利になります。まずは通過条件の見直しが先です。
勘違い2:強い磁力のバーに替えれば解決する
磁力を上げることで改善する場面もありますが、万能ではありません。距離が離れたままでは、どれだけ強いバーでも捕集率は上がりにくいです。特に粉体で層厚が厚い場合は、磁力強化よりも配置や本数設計の方が効くことが多いです。
改善の順序としては、まず「距離」「流れ」「接触」を整え、それでも不足があれば磁力や仕様を上げる、という考え方が失敗しにくいです。
勘違い3:ステンレス片も同じように取れる
ステンレスは種類によって磁性が弱いことがあり、同じ粒径でも鉄と同等には取れません。特に微細領域になるほど、材質差が顕著になります。
もしターゲット異物がステンレス片(弱磁性)であるなら、粒径の話と同時に、磁力分布や接触設計、場合によっては別方式との併用も検討した方が現実的です。
粒径別に“取りこぼし”を減らす設計の考え方
粉体・粒体:層厚を薄くし、バー近傍を必ず通す
粉体の最大の敵は層厚です。層が厚いほど、バーから遠い領域が増え、微細異物ほど取りこぼしやすくなります。粒径が小さいほど、バーに近い距離を通す確率を上げる必要があります。
対策としては、格子状にバーを配置して通過空間を細分化する、落下点に近い場所に設置して材料が分散した状態で通過させる、流路を絞ってバー近傍を通るようにする、といった設計が有効です。
液体・スラリー:流速と接触時間をコントロールする
液体は、微細異物ほど流れに乗りやすく、引き寄せる前に通過しがちです。そのため、捕集部での接触時間を増やす設計が重要になります。粒径が小さくなるほど、接触時間の不足がそのまま取りこぼしにつながります。
また、液体中の異物は浮遊・沈降の影響も受けるため、バーの位置(上側・下側)や流れの安定性も捕集に影響します。工程条件に合わせて、捕集部が働きやすい流れを作ることがポイントです。
運用:微細を狙うほど清掃頻度が重要になる
粒径が小さい異物を狙うほど、捕集した粉がバー表面に堆積しやすくなります。堆積物は捕集面を覆い、次の異物が付きにくくなる原因になります。
つまり微細領域では、装置設計と同じくらい、清掃頻度や清掃しやすさが重要です。捕集量が多い工程では、清掃を前提にした導入設計にしないと、短期間で効果が落ちてしまいます。
粒径別の整理表|現場での目安を一枚にまとめる
表にすると判断しやすいので、粒径別の目安を簡易的に整理します。これは一般論としての目安であり、実際は材質・距離・流れ条件で変動します。
| 粒径の目安 | 捕集しやすさ | 代表例 | 落としやすい理由 | 対策の方向性 |
|---|---|---|---|---|
| 数mm~数cm | 比較的取れやすい | ボルト片、工具破片、部品欠損 | 流速が速いと通過、衝撃・落下リスク | 発生源対策、設置位置の最適化 |
| 0.5mm~数mm | 狙いやすい中心領域 | 摩耗片、切削片、小さな鉄片 | 距離・層厚・流速で取りこぼす | バー近傍通過、接触機会を増やす |
| 数十μm~0.5mm | 条件次第 | 鉄粉、微細摩耗粉 | 層厚・流速でバーに近づかない | 格子化、流路最適化、清掃強化 |
| 数μm~数十μm | 安定捕集は難しい | 超微細粉、微粉末 | 流れ・粘性・静電気等で不安定 | 別方式併用、総合対策 |
「取れる/取れない」を現場で判断するための実務的な見方
粒径別の目安を現場に落とすときは、次の順序で考えると判断がブレにくくなります。
まず、ターゲット異物が磁性体かどうかを確認します。磁性体なら、次に粒径のレンジを把握し、どの領域を狙うのかを決めます。そのうえで、工程の流れ方を見て、異物がバーマグネットに近づく条件が作れるかを検討します。
ここまで整理すると、「微細を100%除去したい」という理想が、現場条件的に厳しい場合も見えてきます。その場合は、バーマグネットに求める役割を「前段で磁性体を減らす」「大きな異物を止める」といった現実的な範囲に調整し、必要に応じて別方式を組み合わせる方が、結果として品質事故を減らしやすくなります。
まとめ
バーマグネット(マグネットバー)は金属異物対策として導入しやすい一方で、「取れる/取れない」は異物の粒径によって難易度が大きく変わります。数mm以上の大きい異物は比較的捕集しやすいものの、発生源トラブルの兆候であることが多く、設備側の対策が重要になります。
現場で最も狙いやすく、効果が出やすい中心領域は、0.5mm~数mm程度の中粒径帯です。ここはバーマグネットの得意領域であり、距離や流れ条件を整えれば高い捕集効果が期待できます。
一方、数十μm~0.5mmの微細領域は、捕集できる可能性はあるものの、層厚や流速、接触機会、清掃頻度などの条件がシビアになります。さらに数μm級の超微細になると、バーマグネット単独で安定除去を狙うのは難しく、別方式との併用を含めた総合対策が現実的です。
結論として、粒径別の目安を持ちながらも、最重要なのは異物がバーに近づく設計と、微細を狙うほど重要になる運用(清掃・点検)です。バーマグネットの役割を正しく位置づけ、工程条件に合わせて最適化することで、取りこぼしを減らし、金属異物リスクを着実に下げることができます。
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この記事の監修者
KK MAGNET 事務局
KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去・磁力検査や粉体輸送、省人化等の事業です。
プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。
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