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製薬プラントが抱える問題点とは?製造現場におけるGMPや品質基準などを解説

製薬プラントとは、複数の機械設備で構成された巨大な医薬品製造工場です。日本における医薬品市場は非常に大きいものの、近年では品質基準の厳格化や生産効率化を目指す動きから、製薬プラントが抱える新たな問題点も出てきました。

本記事では、2024年に向けた製薬業界や法令などの現状を踏まえ、製薬プラントが抱える問題点を考察します。

GMPへの対応

GMP(Good Manufacturing Practice)とは、医薬品の製造管理および品質管理の基準を表します。製薬プラントがGMPの対象となる医薬品を製造するときは、GMP省令に適合する必要があると、薬機法第14条2項4号などに定められています。

GMPの承認を受けるには、初回承認や変更承認申請時の適合性調査や、5年ごとの定期の適合性調査を受けなければなりません。GMPに適合し続ける製薬プラントにするには、作業の手順書、製造工程、試験検査、原材料の管理、製造実績などについて適切な環境・ルールを整備し、マニュアル化して従業員は遵守する必要があります。

とくに「GMPの3原則」と呼ばれる、次の項目を満たした製造プラントの設計・施工が重要です。

  1. 1.人為的な誤りを最小限にすること(間違い防止)
  2. 2.医薬品の汚染及び品質低下を防止すること(汚染防止)
  3. 3.高い品質を保証するシステムを設計すること(品質保証システムの設計)

GMPに対応するには、製造プラントの設計・施工段階からGMPを意識した機械設備、環境条件(クリーン度や空圧、空調など)、医薬品の品質、作業動線、ゾーニング、清掃・洗浄・滅菌工程、人室管理などを意識します。

また、万が一毒性や変異原性などが発生した場合の、物質の漏洩・拡散を封じる施策・技術も重要です。

厚生労働省の資料でも「GMP(製造管理・品質管理)の強化・徹底について」などが紹介されている事例があります。GMPに適合する現場を維持することが、製薬プラントの課題の1つだと言えるでしょう。

またGMP以外にも、医薬品医療機器等法に基づいた、GQP(Good Quality Practice、医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令) や、医薬品の製造販売後の安全管理の基準となるGVP(Good Vigilance Practice、製造販売後安全管理の基準) なども、医薬品メーカーとしてはクリアしておく必要があります。

厳格化する品質基準

製薬プラントでは、厳格化する品質基準をクリアできる製造工程や従業員の育成などが課題となっています。

医薬品は、人の命や健康に関わる製品です。医薬品医療機器等法や薬機法、GMP省令、GQP省令などのさまざまな決まりを守りつつ、厳格な品質と効能を保ったまま市場へ供給する必要があります。

近年では消費者がより安全に医薬品を使えるよう、以前よりも厳しい品質管理や製品試験が求められるようになりました。製薬プラントが超えるべき品質ハードルは、年々高まっています。

薬価制度の改正などへの早急な対応

市場に必要不可欠な医薬品を提供するメーカーであっても、利益を出さなければ医薬品の研究開発や製造を続けることができません。新薬の開発には、数十年の年月や約500億円の投資が必要だと言われています。

しかし近年では薬価改定による薬剤費の値下げ(高齢化による増加する医療費の伸び抑制)や新薬の研究・開発分野の飽和状態、人手不足などが重なり、製薬業界での経営負担や作業負担増加が問題となっています。厚生労働省は2023年11月に、ジェネリック(後発医薬品)がある特許切れの先発医薬品について、患者の自己負担額を引き上げる制度の見直しを審議会の部会に示しました。

こうした逆境に対応して製薬プラントの稼働を続けるには、製薬プラントでの生産効率を向上させ、収益性を上げることが大切になるでしょう。

原材料の計量・運搬・投入作業や設備の洗浄・清掃作業の見直し、機械設備の稼働率向上、作業工数の削減、人員削減など、製造工程のコストダウン施策が製薬プラントの課題の1つです。

さらに今後はAI・IoTの導入といったDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入も視野に入れた、さまざまな生産効率化の施策が浸透していくと予想されます。

まとめ|今後も製薬プラントは日本にとって重要

製薬業界を取り巻く環境は大きく変化しつつありますが、医薬品はどのような経済状況であっても一定の需要がある製品です。課題はありつつも、製薬プラントは今後も日本の医療業界を支える重要な設備であり続けると推測されます。

この記事の監修者

ケーケーマグネット株式会社

KK MAGNET 事務局

KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去磁力検査粉体輸送、省人化等の事業です。
プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。 本コラムはKK MAGNETが監修するお役立ちコラムです。

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