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医薬品工場における異物除去の考え方|必要性と3つの管理手法

医薬品工場で異物混入が発覚すると、医薬品購入者への健康被害、企業ブランドへの悪影響、製品回収コストの発生などさまざまな損害につながります。医薬品工場の異物除去の取り組みは重要です。異物除去のためには入れない・除去する・出さないという3つの管理の考え方が基本になります。

本記事では医薬品工場における、異物除去の考え方を解説します。

医薬品工場における異物除去の必要性

医薬品工場にて製品に異物混入が発生すると、企業全体の大きな損失につながります。医薬品工場における、異物除去の必要性を見ていきます。

消費者の健康被害を出させない

医薬品に異物が入ったまま市場に出回ると、医薬品を服用した人物の体内に異物が入り込む可能性があります。異物入りの医薬品の接種は、口内・体内のケガや体調不良などの原因になります。

「健康や予防のために医薬品を購入したのに、逆に健康被害につながった」という、本末転倒な結果になるかもしれません。医薬品工場では、消費者の健康被害を防ぐためにも厳格な異物除去の仕組み・ルールが必要です。

企業ブランドを失墜させない

ネットニュースやSNSが一般的になった現代では、異物混入の悪評は一瞬で拡散されます。医薬品メーカーの異物混入は、食品への異物混入と同等以上の評判低下につながる可能性があります。

悪評によって企業ブランドが失墜すれば、売上やリピーターも減少し、経営にも悪影響を及ぼすでしょう。

製品回収の手間とコストを発生させない

異物混入した製品が市場で発見されると、同一ロットや同一ラインで製造した他の製品にも異物が混入している可能性があります。リスクを回避するためには、製品回収を行う必要があります。

製品回収にかかる手間とコストは非常に大きく、工場を含めた企業全体の損失につながるでしょう。

医薬品工場での異物除去における3つの管理

GMPに適合した管理が徹底した医薬品工場であっても、製品への異物混入を100%防ぐのは難しいです。医薬品工場で異物混入となる原因は次の通りです。

  • 洗浄不良や不衛生な環境由来のカビが発生する
  • 作業者の毛髪や装飾品が混入する
  • 製造現場内や原材料由来の害虫が混入する
  • 製造中のトラブルや金属劣化によって金属が混入する

異物が混入した医薬品を流通させないためには、入れない・除去する・出さないという3つの管理を徹底する必要があります。

そもそも製品に入れないこと

異物除去の考え方として大切なのは、そもそも製品に異物を入れない環境を整えることです。異物が製品に入らないシステムやルール作りを進めましょう。入れない管理の例は次の通りです。

  • 製造室内の服装ルールやチェック体制を強化する(外部業者へのチェックも含む)
  • 原料・資材の受入試験や計量・製造時のモニタリングを強化する
  • 製造機器の定期点検・部品交換などのメンテナンスを行い、金属劣化や部品のゆるみなどを早期発見する
  • 適切な洗浄方法・時間や洗浄不良の箇所を洗い出し、適正化を進める

基本的な対策こそ、異物混入防止に大きな効果をもたらします。

入った異物を除去すること

1日に何千・何万もの医薬品を製造する工場だと、チェック漏れやイレギュラー、ヒューマンエラーなどが原因で、異物混入が発生するケースが考えられます。異物が入ったまま製品化されるのを防ぐには、入った異物を除去する仕組みが必要です。考えられる対策は次の通りです。

  • 原材はろ過してから使用する
  • 液状の製品は、ストレーナーといったフィルターを通す
  • マグネットなどを製造ラインに設置し、金属異物を取り除けるようにする
  • ろ過器具、ストレーナー、マグネットなどで異物が発見されたとき、すぐに報告できる体制を整えておく

除去装置を選定する際は、除去装置自体が異物混入や汚染の原因にならないよう、衛生的かつ洗浄がしやすいサニタリー製品を選定しましょう。

異物が入った製品を検知して市場へ出さないこと

異物除去装置でも取り除けなかった異物が発生した場合でも、出荷される前に検知できる仕組みがあれば、市場への流通は防げます。事前検知によって異物が入った製品を出さない管理も重要です。出さない管理の例は次の通りです。

  • 金属検出機やX線異物検出機、画像検査装置などで小さな異物でも発見・排除できるようにする
  • 異物発見時には製造ラインからの排出やアラートなどを作動させる仕組みにしておく
  • 検品者の配置や検品工程の見直しなど、人の目による検査体制も整えておく

異物が検知されたときは、異物発見時のロットや製造ラインの状況などを把握し、異物混入の原因を素早く特定できるようにしましょう。

まとめ|異物が発見されたらその後の対策も重要

製造ラインや製品から異物が発見されたら、除去して終わりではなく「なぜ発生したのか」「どこで発生したのか」などの原因を追求し、二度と同じことが起こらないよう再発防止策を講じることが大切です。

混入経路・混入原因の分析と異物混入対策の実行を繰り返し、異物混入の発生が限りなくゼロに近づく工場を目指しましょう。

この記事の監修者

ケーケーマグネット株式会社

KK MAGNET 事務局

KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去磁力検査粉体輸送、省人化等の事業です。
プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。 本コラムはKK MAGNETが監修するお役立ちコラムです。

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