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電子・電気機器の製造における金属異物除去の重要性は?トラブル内容や対策方法
電子・電気機器の製造でも、食品・医薬品・化学関係といった他業界と同じく金属異物混入が悪影響を及ぼします。
本記事では電子・電気機器の製造における、金属異物が原因のトラブルや金属異物への対応策について解説します。
金属異物が原因で電子・電気機器に起こるトラブルとは
電子・電気機器や関係部品に金属異物が混入すると、製品の品質や製造におけるさまざまなトラブルが発生するリスクがあります。金属異物が原因で電子・電気機器に起こるトラブルについて見ていきましょう。
製品の品質が低下する
電子・電気機器の部品に金属異物が付着したまま製造されると、製品の品質が大きく低下する恐れがあります。
たとえば電子部品でよく使われるプリント基板やコネクタへ金属異物が付着してしまうと、他の電子部品との接続時に接触不良、基盤の電子回路の導通不良・ショートの発生、光学レンズへの付着などのトラブルが発生する可能性があります。鋭利な金属片だと、基盤にキズが付くケースも考えられるでしょう。
また金属以外の異物、例えばゴミやホコリが付着した場合でも接触不良、汚染物質による電気的機能の低下などが発生する可能性があります。基盤表面の静電気が原因で、ゴミ・ホコリが引き寄せられることがある点にも注意が必要です。
電子・電気機器の製造は精密さが求められる製品であり、小さな金属異物であっても大きな影響を与えるリスクがあると言えるでしょう。
製造機器に悪影響を与える
電子・電気機器の製造ラインで金属片・金属粉が発生すると、製造機器に悪影響を与える可能性があります。
製造機器への直接的なダメージであれば、製造機器への金属片の噛み込み、製造機器のピストン部へのキズといったものが考えられます。製造機器に発生した金属粉が付着したままだと、製造時に電子・電気機器の部品に移り、製品の品質が低下する恐れもあるでしょう。
企業の評判が低下する可能性がある
金属異物が混入した製品を出荷してしまうと、製品を販売・製造する企業や製造工場の評判が低下する可能性があります。
たとえば納品した製品に金属片やその他のコンタミが見つかると、取引先からのクレームの発生が考えられます。納品物の品質が悪いことで取引先が損失を被ったり、異物混入が何度も続いたりすると、契約打ち切りや損害賠償請求につながるかもしれません。
また金属異物が混入した製品が市場へ直接出回ってしまうと、不良品が消費者の元へ届いてしまいます。製品の不良による消費者からのクレームはもちろんのこと、機器不良による感電・火災などが発生して消費者に多大な損害が発生するかもしれません。
製造不良が原因のトラブルがインターネットやSNS上でシェアされてしまった場合は、企業ブランドが一気に失墜することも考えられるでしょう。
製品回収によるコストが発生する
出荷してから金属異物による不良が見つかった製品は、現状以上に出回らないように回収する必要があります。製品回収にかかる労力、関係各所への説明と謝罪、回収した製品の検品など、さまざまな金銭的・時間的コストが発生する可能性があります。
電子・電気機器製造における金属異物混入の対策方法
電子・電気機器や関係部品を製造する際は、金属異物発生の予防、金属異物の除去・発見の仕組みを作るといった、金属異物混入への対策の実施が大切です。詳細を見ていきましょう。
製造機器の定期点検を実施する
電子・電気機器の製造機器やその他付属機器は、定期的な点検を実施して金属異物の発生の予防を行いましょう。製造機器の定期点検を実施するメリットは次の通りです。
- 製造機器や部品の金属部分の欠け・削れ、または欠け・削れが発生しそうなところを事前にチェックし対応できる
- 製造機器の動作の異常にいち早く気づきやすくなるので、金属異物が発生する前に製造ラインを停止したり被害の拡大を抑えたりしやすくなる
- 製造機器に付着した金属異物を取り除くことで、製造機器を介して金属異物が付着することを防げる
- 定期的な部品交換・メンテナンスなどを実施することで、製造機器の長寿命化やトラブル発生率の低下などにつながる
製造機器の定期点検を実施する際は、製造機器に応じた点検頻度(月に1回、年に1回など)、製造中の日常点検の項目(異音、動作、油圧など)、担当者などをあらかじめ決めておきましょう。
発生した金属異物への対策を実施する
金属異物は、製造機器の劣化や予期せぬトラブルが原因でも発生するため、完全にゼロとするのは非常に難しいのが実情です。そのため、予防だけでなく発生した異物への対策になります。
発生した金属異物への対策としては、「異物除去装置」と「異物の発生を発見できる装置」を取り付けるのが効果的です。
異物除去装置を取り付ける
異物が発生しても、製品を出荷する前に取り除ければ大きなトラブルには発展しづらいです。発生した金属異物は、異物を除去できる装置で対応可能です。
電子・電気機器の部品に使える異物除去装置として、集塵機による吸い込み、エアブローによる吹き飛ばし、粘着ゴムローラーによる吸着除去などが挙げられます。
また、電子・電子機器の製造においては、金属異物除去以外にも静電気を除去する仕組みも有効です。静電気を除去することで、基板などの表面にゴミ・ホコリが付着するのを防げます。
異物の発生を発見できる装置を取り付ける
万が一異物除去装置でも金属異物を除去できなかった場合に、金属検出機やX線検査装置などによって、出荷前に金属異物を発見する仕組みを構築することも大切です。
電子部品の検査向きの製品などもあるので、製造する電子部品の特徴や製造ラインとの相性を見ながら、最適な装置の選定を行いましょう。
異物が発見されたときは異物の分析を行う
金属異物除去装置やX線検査装置などで金属が発見された場合は、発見された金属異物について分析することが大切です。分析によって金属異物の大きさ・形状・種類などの情報を収集できれば、金属異物の発生箇所や発生原因を特定しやすくなります。
金属異物の分析には、X線分析装置、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡、透過電子顕微鏡などが用いられるケースが一般的です。
分析結果に基づいた対応策や改善措置を実行する
検出された金属異物を分析したら、分析結果に基づいた対応策や改善措置を実行します。たとえば製造機器の故障による部品欠けが原因であれば、当該製造機器の部品交換やメンテナンス、買換などを検討します。さらに、製造機器の故障の原因も追求し、改善することも重要です。
金属異物が検出されるのは、製造において好ましくありません。しかし、検出された後に対応策や改善措置を講じることで、将来的な金属異物混入を防げます。
まとめ|電子・電気機器の製造でも金属異物除去が重要
電子・電気機器の製造においても、食品や医薬品などの製造と同じく金属異物の発生を抑制し、発生時には除去することが重要です。
電子・電気機器は導通不良やショートといった、金属異物混入による電子・電気機器特有のトラブルが存在します。
電子・電気機器関係の製造ラインを稼働させる際は、定期点検、金属異物除去・発見の仕組み構築、分析結果に基づいた改善など、金属異物への対策を実施しましょう。
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この記事の監修者
KK MAGNET 事務局
KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去・磁力検査や粉体輸送、省人化等の事業です。
プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。
本コラムはKK MAGNETが監修するお役立ちコラムです。