お役立ちコラムCOLUMN
【回答付き】金属異物除去についてよくある疑問点や質問
工場で製造を進めるうえで、金属異物除去は製品の品質維持や企業の社会的評価の低下などを防ぐために必須とも言える工程です。しかし、わからないところがあるまま対策を進めても、いざというときに効果を発揮しない施策になる可能性があります。
本記事では、金属異物除去に関するさまざま疑問点や質問と、その回答についてまとめました。本記事を読めば、金属異物除去のリスクや、金属異物除去装置(とくにマグネットについて)を確認できます。
目次
【FAQ】金属異物除去でよくある疑問点・質問
金属異物除去について、よくある疑問点や質問とその回答を以下にまとめました。金属異物除去について知りたい方、金属異物除去装置の導入を検討されている方はぜひご覧ください。
- 金属異物除去をしないとどうなるの?
- 金属異物除去装置としてよく使われるものは?
- 金属異物除去用のマグネットの磁力は衰えますか?
- マグネットの寿命を長く保つには?
- マグネットの磁力検査はどうすればよいの?
- 自社ラインに合う金属異物除去装置を選ぶには?
- 他の磁石を近づけることで、外部の磁界の影響を受けて磁減が発生する
- 一定範囲以上の温度(通常のネオジム磁石であれば80度前後、完全に磁力を失うキュリー温度は320度前後)を超えると、磁力を大きく失う
- 湿気などが原因で磁石の素材が酸化し、磁減が発生する
- 傷や衝撃が原因で磁力が下がる
- 工場の製造ライン上で高温にならないところに設置するようにする
- ライン洗浄時に高温な洗浄液や殺菌水を使うときは、あらかじめラインからマグネットを外して別の方法で洗浄する
- 保管するときは、錆が発生しないよう水分から遠ざけたりビニール袋で密封したりなどの工夫を凝らす
- 他の磁石の磁力の影響を受けないよう、設置時や保管時の磁石の向きに気をつける
- 保管時は落下、衝突、その他マグネットにキズが発生するような環境にならないようにする
1.金属異物除去をしないとどうなるの?
金属異物が工場ラインに混入したままだと、製造機器に侵入して噛み込みや削りなどのトラブルを起こす可能性が高まります。
また製品が食品・医薬品などの人間の身体に入るものだと、購入者のケガ・病気の起因になるリスクもあります。金属異物が入った製品を市場に出したと世間に認知されると、工場や自社そのものの社会的評価の低下も想定されるでしょう。
こうしたリスクが考えられることから、工場にとって金属異物除去への対策は非常に重要なポイントだと言えます。
2.金属異物除去装置としてよく使われるものは?
工場ラインの金属異物除去装置としてよく使われるものとして、「マグネット」「フィルター」「金属検知機」「X線検査装置」が挙げられます。
機械的・電気的な仕組みが一切なく、工場ラインの途中に設置して効果を発揮するのがマグネットとフィルターです。マグネットは、磁力によって工場ライン内で発生した金属を本体に付着させて除去します。
フィルターの効果は、細かな網目(メッシュ)が入ったものを工場ラインの途中に設置することで、網目を通らない異物をそこで除去できるというものです。
金属検知機とは、製造ライン上に金属が通過したら警報などで通知を発生させ、金属混入が疑われる製品とその後ろの製品を排出したり、ラインを停止させたりする装置です。
一方でX線検査装置は、X線を照射して被検査物を透過させ、被検査物内や表面にある金属を含めた異物を検知します。近年では、X線検査装置と金属検出機が一緒になった除去装置も登場しています。
高性能な金属検知機やX線検査装置は、金属異物除去として性能が高いだけでなく、検出した異物の解析や記録ができます。異物発生の原因特定や、今後の異物対策の立案への活用などにも対応可能です。しかし、高性能になるほど本体価格が高くなります。
低コストかつ高性能で工場ラインにも設置しやすい金属異物除去装置としては。マグネットがもっともよく使われています。同一の製造ラインにマグネット+X線検査装置といった複数の金属異物除去装置を設置できれば、より高度な金属異物混入への対策となるでしょう。
3.金属異物除去用のマグネットの磁力は衰えますか?
永久磁石(ネオジム磁石など)であっても、金属異物除去用のマグネットの磁力は、磁力が衰える磁減減少が発生します。とはいえ永久磁石の磁減は他の磁石よりも緩やかであるため、使い方に問題がなければ半永久的に使用可能です。
しかし、使用環境や使い方によっては永久磁石でも寿命が大幅に縮まります。永久磁石の寿命が縮まる原因は次の通りです。
金属異物除去用のマグネットを設置するときは、温度・湿度などの周囲環境や工場ライン稼働時の異物による衝突の有無などに注意しましょう。
4.マグネットの寿命を長く保つには?
マグネットの寿命をできる限り長く保つには、マグネットの磁力が衰える使い方や環境から遠ざけることが大切です。マグネットの寿命を長く保つための例は次の通りです。
ネオジム磁石を用いたマグネットの場合、腐食や摩耗などを防ぐためにマグネットをステンレス製の筒の中に入れて使います、
実際に磁力が低下しているかどうかは、マグネットの磁力測定によって判断できます。
5.マグネットの磁力検査はどうすればよいの?
マグネットの磁力検査は、ガウスメーターやテスラメーターなどの機器を用いて行います。使用するメーカーやプローブによって、測定値には差が出ます。また、磁力測定は正しい方法かつ精密な作業が求められるため、正確な値を出せるようになるまでは訓練が必要になるでしょう。
マグネットを販売するメーカーの中には、磁力測定の代行を請け負ってくれるところもあります。磁力測定をプロの手に任せたい場合は、弊社へお問い合わせください。
6.自社ラインに合う金属異物除去装置を選ぶには?
自社ラインに合う金属異物除去装置を選ぶには、まず自社ラインの現状分析(新設ラインの場合は想定される状況の分析)を行い、想定される金属異物の種類・形状、必要なスペック、想定されるサイズと設置に必要なスペース、作る製品、設置箇所などの見通しを事前に立てておきます。
事前の分析が甘ければ適切な装置を選べず、金属をうまく除去できないリスクが高くなります。
製品や仕掛品が流体(液体や気体)の場合は、近くを通すだけで効果があるマグネットやフィルターがよいでしょう。流体の流れを妨げないのもメリットです。箱詰めしたものや組立品など完成品やある程度完成したモノを流すラインなら、金属検知機やX線検査装置のほうが向いている可能性があります。
もし金属異物除去装置の設置場所に迷ったり、必要なスペックの判断がつかなかったりなどでお悩みの場合は、金属異物除去装置を取り扱うメーカーへの相談がおすすめです。自社ライン・製品の状況や予算に合わせた、適切な金属異物除去装置の種類・設置場所などの提案を受けられます。
またメーカーの中には、自社ラインに合わせたオーダーメイドのものを提供しているところもあります。
例えばマグネットのメーカーであれば、自社ラインや製品に合わせたマグネットの形状への加工や磁力検査の代行に加えて、周辺機器の設計や据付などにも対応してくれるでしょう。
金属異物除去についての相談は専門メーカーへ
金属異物除去に関してよくある疑問点や質問、回答をご紹介しました。金属異物除去は工場にとって重要な論点となるので、金属異物除去装置の導入を含めた総合的な対策が必要になるでしょう。
本記事の回答以外で金属異物除去について知りたい方は、マグネットやその他金属異物除去装置を取り扱う、KK MAGNET株式会社へお問い合わせください。
お電話でのお問合せ
この記事の監修者
KK MAGNET 事務局
KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去・磁力検査や粉体輸送、省人化等の事業です。
プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。
本コラムはKK MAGNETが監修するお役立ちコラムです。